マギ長編

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バルバッド国 豪商の屋敷



「国軍の手の回らぬ所で、霧の団が目をつけそうなのは、ここともう一か所だけです」

「もう一か所はどうするの?」

「シンとマスルール、ライとリアンが警備兵と称して張り込んでいます」



こちらには、ジャーファル・アラジン・モルジアナが来ていた




「そっか...シンドバッドおじさんは大丈夫なのかい?何の力も使えないって...」

「大丈夫ですよ、腐っても七海の覇王シンドバッドですから...」










バルバッド国 貴族の屋敷


「さみー...南東の国でも、霧の夜は冷えるな...」

「そうスね...」

『おっさん臭いこと言うなよなーシン』

「パパ、おっさんー?」

『おっさんだよー』

「ちょっ、ライ!!リアンに余計なこと言わないでくれ!!」




こちらの方には、シンとマスルールそしてオレとリアが来ていた

リアは見つかると面倒なので、オレのマントの中に上手く隠れている(今は顔だけ出してる)




「バッカ、動くなよマスルール!」

「風よけにしないでくださいよ!!」

『シンも、いっぱい着てくればよかったのに...つーかリアがあったかいのか?』

「んー?ママぽかぽかー?」





とか、勝手に和んでいると、デブな貴族様に怒られてしまいました...



ホントいいご身分なことでー...




しばらくすると、霧の向こうから人影が見えたため、シンがその人に近づく



すると、突然その女がナイフをシンに突き刺そうとしてきた(もちろんシンは避けた)




「なんだ?」


『囲まれたよシン...』


「霧の団のお出ましか?」




周りに、人だかりができているのが気配ではわかるけど...




「霧が邪魔で敵の状況が把握できん!!」

「了解...」



シンの一言で、マスルールがその辺の木を引っこ抜いて振り回す




「『!!?』」



オレ達は、見えた人々に驚いた


明らかに、霧の団の人ではない

ただの貧しい国民にしか見えないのだ





「邪魔をしたら殺す...やってやる...今日食べさせなければ、娘は飢え死にしちまうんだ!!」

『...飢え死に』ボソッ

「この子で三人だ...もう国高い税と一緒に、子供の命を奪われるのはいやだ!!」





さっきから何かを持っていると思ったら、子供だというではないか...

オレだって、リアの親だからわかる


子供が目の前で、なすすべなく死んでいくのなんて見たくはない...






ベチャッ




すると、窓からさっきのデブが肉を落としてきたのだ


即座にその肉に反応した、女の人


しかし、その手をシンが止める





「そんなことをする必要はない...屋敷の中で好きなだけもらってくればいい」

『だけど、命だけは見逃してやれよな!』




オレ達の言葉を聞いたスラムの人々は、一斉に屋敷の中へ入って行った






「いいんすか?」

「だってオレ達、霧の団を捕まえるって約束しただけだし...」




後ろからは、あのデブの声が聞こえるがスルーだスルー






『そーそー、楽できたしよかったじゃん!マスルールはわりと真面目さんだよなー』

「だよなー...」

「...」




こっちに、来なかったってことは
ジャーファルたちの方に来た確率が高い




宿に戻って、ジャーファルたちの帰りを待つことにしたのであった...








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