マギ長編

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煌帝国についてすぐ、オレ達は来客用の部屋へと通された






いくら呼ばれて来たからと言っても、中々皇帝に会わせてもらえないのはわかっていた...




元々、長期滞在になる事を予想していたシンは、敵の真っ只中なのに妙に落ち着いていたしな...








そんな時だった





「ライ様...皇子が御呼びでございます」

「...何故オレでなくてライを?」

「申し上げられません...」

「チッ...ライ?」





シンはオレを離す気がないようで、部屋に入ってきた人をめっちゃ睨んでたけど


オレは誰が呼んでいるのかをわかっていたから、シンの腕を解いて立ち上がった






『シン...ちょっと行ってくる』

「...」ムスーン

『はぁ...大丈夫だよ』





自分から抱きついて、シンにキスする






『すぐに戻ってくるから、大人しく待っててシン』

「わかった...」







オレは、呼びにきたヤツの後ろについて、俺を呼んだであろう...紅炎の部屋まで歩く























「中で、紅炎様がお待ちです...」

『わかった...』






部屋の前まで来ると、扉を開け中に入るように言われてた


もちろん、オレ一人でだ





もうすぐ5年の月日が流れるのに、あの頃と何一つ変わっていない部屋に、オレはいつの間にか笑っていた













「何かおかしいか、ライ?」

『!?』





揃えられた本に気をとられていたから、突然耳元から聞こえた声に驚いた


しかしその懐かしい声の持ち主に、オレは振り返り抱きついた






『紅炎!!久しぶりだな、元気だったか?わーなんか髭相変わらず似合わないね!!』

「...ライ、言う事はそれだけか」

『えっゴメン怒った?相変わらずカッコイイね紅炎!』





鋭い目つきは相変わらずで、でもちょっと落ち着いた大人な雰囲気に変わっていた紅炎


なんか、炎帝って呼ばれてるって言ったけど...そのままでいてくれてよかったよ







「ライ...綺麗になったな」

『えっ何いきなり!?』

「思ったことを口にしたまでだっ...」

『えっ!?なんで、持ち上げんの!?』

「そんなの今から、ヤるからに決まっているだろ」ニヤッ





不敵な笑みがかなり板についているというか...逃げたい







『紅炎、オレにだってこの5年色々あったんだよ!まずはお互いの事話そう、ね?』

「...」

『お願いだからさ...オレの話を聞いて紅炎』





5年前の事は、今でも忘れることはできないけれど...


そう易々とヤられてたまるかっつーの!











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