マギ長編

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皆が寝静まったであろう、深夜



依頼を受けた暗殺者が、王とそれに近いものだけが立ち入りを許されている紫獅塔へと降り立った





王の実の子であるリアンの寝室は、ここからそう遠くない





念のため、両親であるシンドバッドとライの寝室を外から覗き、気配を探る






「...寝ているな」




ぐっすりと寝ている事を確認してから、暗殺者は横に設置されているリアンの寝室へと足を踏み入れる



























「スー...んにゃ...」

「スマンな...お前に罪はないが、殺らせてもらう」




シャーッ 




短刀を抜き、リアンの首元へ添える





「恨むなら、産んだ両親を恨むんだな」



ザシュッ





「!!?」


「...誰だよ、ボクの眠りを妨げるのはぁ...」


「おっお前、起きて!?」




肉の切れた音は、リアンの首を切った音ではなく

リアンが暗殺者の腕を切った音だった






すばやくリアンとの距離をとった暗殺者


その判断は正しかった


なぜなら、そのままリアンの前に居たら

確実に首を飛ばされていたからだ(あくまでも例え)







「アンタ誰?」

「そんなことペラペラと話すと思うか?」

「思わないけど?一応聞いてみようと思っただけだよ...」


「聞いた所で、お前はこれから死ぬのだから意味などない」





ちなみに、リアンはまだベッドの上で上半身のみを起こした状態


対する暗殺者は距離はとっているものの、すぐにでもリアンを殺れる位置にいる



誰がどう見ても、どちらが不利かはわかりきっていた




しかし、事は簡単には進まない








なんせリアンには、まだ皆に伝えていない能力があるのだ(主に魔法系)












「覚悟っ!!!」



タタタッ




一気にリアンとの距離をつめ、短刀を突き出す暗殺者


しかしリアンはそれを軽々と避け、暗殺者の後ろを取った





「ねぇ...誰が死ぬんだっけ?」ニヤッ


「...」




指(爪)を首にめり込ませるリアン

暗殺者も相手が子供だからと、多少油断していた事を後悔していた





「答えられない?」

「チッ...」


「...だったら、キミにボクを殺すように頼んだ人の名前、言えるよね?」

「いっえる、わけっ...」




途中で言葉を切る暗殺者

なぜならリアンが子供とは思えないほどの力で首を絞めたからだ




「キミ今の状況わかってる?ボクはいつでもキミを殺る事ができるんだよ?」


「...サーラ様だ」

「サーラ...?」



聞いた事のない名前に首を傾げるリアン





「お前が知らないのも無理はない...サーラ様は王直属の侍女だったのだからな」

「だったって...今は違うってこと?」

「ああ...」




当然の質問を投げかけるリアン


もちろんそのまま話してくれるとは思ってもいなかったが、どうやら暗殺者・ヴァルは話してくれるようだ



首を絞めたままっていうのもあれなので、リアンはその辺にあった紐でヴァルを縛り上げ、話を聞くことにした...







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