マギ長編

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シンドバッドside




ここ数ヶ月

あきらかに、ライの様子がおかしい


何がと言われると困るのだが、兎に角おかしいのだ...




「どう思うジャーファル?」

「どうせ、シンがライを怒らせる様な事をしたのではないですか?」

「そうかと思って考えてみたみたが、心当たりがまるでないんだよ...」

「じゃあ、アナタの勘違いでは?
私が見るかぎり、ライはきちんと仕事をこなしてくれてますし、変わった様子もありませんよ?」




それよりも手を動かしてくださいと、ジャーファルに怒られれば

それきり、どちらも喋らなくなった





















「そんな訳でヤムライハ!なにか知らないか?最近、ライと一緒にいることが多いだろう?」

「さぁー?王の勘違いでは?
ライは変わりありませんよ?」




内心ビクビクしているヤムライハだが、シンドバッドには気づかれてはいないようだ


しかし、次の言葉達で
ヤムライハの表情は一変する




「みんなそういうんだがな...ここだけの話、最近ライは太ったと思わないか?」

「そうですか?さしてお変わりありませんよ?」


あくまでも平然と言ってのけるヤムライハ



「気のせいならいいんだが...あと、これをお前に言うのもアレなんだが...」

「はい?なんですか?」

「その...最近というか、ここ数ヶ月間...ライと..ない..だ」ボソッ

「えっ、なんですか?」



語尾が小さく聞こえなかったヤムライハは、シンドバッドに聞き返す



「だから、ライとセックスしていないんだ!!」

「なっ!!?」

「どう思う、ヤムライハ!オレはライに嫌われたんだろうか...」

「そんな事ありませんよ...ライは...おっ王のことを思っておりますよ!」





酷い落ち込みようである


この様子に、一瞬真実を言ってしまいそうになったヤムライハだが
ライとの約束だからと思いとどまった...が





「ヤムライハ、お前今何か言おうとしなかったか?」

「いっいえ何のことですか?」

「ほら、今もそうだが...さっきから、何故オレと目を合わせない?本当はなにか知っているのではないか?」




こうなっては、ヤムライハがとことん不利である

しかし、友達との約束を守らなければならないのは明白

いくら自分の仕える王であっても、あの事を言ってはならない



でも、それを知らないシンドバッドはヤムライハを追い詰める




「...命令だ、すべて吐け!
お前から聞いた事は、絶対にライに言ったりしないし、お前から聞いたとも言わない!!」

「...」

「だから、教えてくれ...このままでは、どんどんライとの距離が離れていく...」



シンドバッドにしては珍しく、覇気のない声に、ヤムライハも覚悟を決めた




「王よ、驚かずに聞いてください...今から話すことはすべて事実です...」

「...」








こうして、ライが妊娠していること

そのことがバレないように、シンドバッドから、いや皆からある一定の距離をとっていることを...

すべて包み隠さずに話したのだ






「...そうか、お前には苦労をかけたな、すまない」

「そんな!本当はもっと早くお伝えするべきでしたのに...謝るのは私の方です」

「いや、話してくれてありがとうヤムライハ...これで、全ての辻褄が合う訳だな」



話を聞いたシンドバッドは、もっと取り乱すかと思っていたヤムライハ

しかし、そんなこともなく
ただ淡々と話を聞き、そして受け入れていた




「これからも、ライを気にかけてやってくれ!そして、絶対にこの国から出すようなことはあってはならないからな!」

「わかっております王よ...」







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