マギ長編

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「本当に心配なのよ...」

『ありがとうヤムライハ...オレ、感謝してもしきれないな』

「感謝なんてしてくれなくてもいいわ...ちゃんと元気な子さえ産んでくれれば」



そう言って、オレのお腹を撫でるヤム


ヤムはオレの妊娠がわかってから、よくこうやってオレのお腹を撫でては優しい表情をするようになった


なんだか、オレのじゃなくて、ヤムの子供じゃないかって思うほど、そりゃーもう頻繁に...





「ねえライ、やっぱり王には言っておいた方がいいんじゃないの?この子のお父さんでしょ?」

『またその話...絶対にダメだ!今はその時ではないって何度も言ってるだろ?』

「でも...これじゃあ、王が不憫でならないわ...」

『それでもダメだ!ちゃんと時期をみてオレから話すから...なっ?』





実はこのやりとりも数十回に及ぶ


口ではこう言っているオレだが、本当のことを言うと
シンにこの事を話す気は全くもってない



もし万が一、知られる事になったとしたならば、オレはシン、そしてこの国から去る覚悟をしている...



お前には悪いけど、自分勝手な母親を許してくれな...






「ライ、今回の迷宮攻略がどれくらいかかるかわからないけれど...ちゃんと此処に帰ってくるわよね?」

『...ヤムライハ、約束する!オレはちゃんと帰ってくるって』

「本当に本当よ?
絶対に攻略して帰って来てよ!!」

『わかってるさ!ヤムはこの子の第二の母みたいなもんだろ?』



そう言えば、久々にヤムの笑顔を見れた気がした...


















そんなこんなで、出発日は近づくもので

とうとう今日、その日になった




「では、ライのことは任せましたよピスティ!」

「はい、わかっていますジャーファルさん」



「ライ、絶対に帰って来いよ」

『シンそんな顔するなって...』

「しかしな...やっぱり不安なんだよ」

『自分から言い出しといてなーに言ってんだよ!!オレを信じろ!!』

「必ず、無事に帰ってこい」

『わかってる、いってくるねシン!!』




シンに八人将と国民に見送られ
シンドリアを出たオレたち


ヤムは不安そうな顔をしていたが、オレは大丈夫だと言う事を伝えるため、終始笑顔で船に乗り込んだ










しかし、久々の船は最初は良かったものの




今は絶賛グロッキー中です...

ハイ、みごとに酔いました...












『う゛ー...きもぢわる...』




ガチャッ




完全に船酔いして

自分に割り当てられた部屋で寝転がっていると、誰かが入ってきた



「ライ大丈夫?水を貰ってきたけど、飲める?」

『...のむ』





ピスティが気を使ってるなんてー

割とレアな光景...





「あー今失礼な事思ってたでしょ?」

『えーそんなこと、う゛っ?!』

「大丈夫!?」



突然、吐き気がして自分でもビックリ



ピスティが慌てて、オレの背中を撫でてくれたから何とか治まった...






















数日の航海の後
迷宮前にへたどり着いたオレたち








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