マギ長編

□小話
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〜玉艶〜



「あなたがライね...
ジュダルから話は聞いているわ、楽になさって結構よ?」

『はぁ...』




オレは今、ジュダルに拉致られ

白瑛・白龍の母であり
現皇帝の妻になった玉艶の元に居る



正直言って、目が笑ってない...コワッ

しかも、年齢詐称か!?ってくらい若い見た目で...ホント、逆に怖いんだよ






『それで、アナタのようなお方が
ただの平民であるオレに何のようですか?』

「ただの平民だなんて...貴女は、とても魅力のある、そう器だわ」

『はぁ、器...?』





って、なんのことだ?

それよりもこの顔、完全に何か企んでる人間の顔だよね...

でも、ジュダルがここまで無防備(オレの横で桃食ってる)ってことは
オレにも危害は加えないってことなのか...?







どれくらい時間が経ったかわからなかったが、終始胡散臭い笑顔の玉艶は

結局、オレに何もしてこなかった...




それ所か母を知らないオレにとっては
とても心地良い感じだったりした...




「話せてよかったわライ...」

『こちらこそ、楽しかったです玉艶様』

「やっと終わったかぁー」




区切りがついたので
ひとまず此処までにという事で

オレは部屋を出るためその場に立つ
もちろんジュダルも連れて






「最後に、一つだけいいかしらライ?」




部屋を出る寸前の所で
玉艶から声がかかりそちらを向く

それを見てから玉艶は話し出す



「ライ、貴女は何に絶望したのかしらね...」

『...玉艶様には関係ありません』



何でわかったんだ...なんて思ったりもしたが
別に隠しているわけでもないしな...


ただ、あまりそれには触れて欲しくはない

オレには有り余る力だしな...





「そう、残念だわ...でも、これだけは覚えておいて...
私は、いえ私達は、貴女の味方であると」

『...勿体無きお言葉です、玉艶様』



オレはそのままジュダルの手を引き
その場を後にしようとしたが...



『オレは、もうこの力を使ったりは絶対にしません...約束がありますから』ニコッ





最後の笑顔は、オレなりの牽制

これ以上アイツに迷惑はかけられないし、かけたくもない


それに、この力を使ったら
今度こそオレは壊れるだろうし...




「本当に残念だわ...
でも、またおしゃべりはしてくださるでしょライ?」

『そうですね...気が向いたらまた来ますね』








今度こそ本当にその場を去った




「なーライ、この力って何のことなんだよー?
もしかして、お前の周りにいる
この黒いルフと関係してたりするのか?」

『...わかってんじゃん、お前』

「えっマジなの!?ってことはオマエもだっ『黙れジュダル!!』...!?」



コイツ普通に外で言おうとしたよ!?

人の目もあるんだから空気読めよマジで!!



「ふーん、じゃあお前もオレと同じなんだな!」

『いや、何嬉しそうにしてんの?
つーかさ...オレとお前とじゃ物の考え方違うから!』


「えーそんなツレナイ事いうなって!
オレとお前の仲だろー?」




どんな仲だ!!とつっこみたかったが
これ以上ジュダルが調子に乗るのは面倒だったので


そのまま無視して
自分の部屋までスタスタと歩いていった



後ろでは、オレを呼ぶジュダルの声が響き渡っていた...




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