マギ長編
□小話A
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〜安らぎの一時〜
ある日の午後−−
木の上で読書(お昼寝)していると
人の気配を感じたため目線を下に向けた
「...ス」
『なんだマスルールか...』
寡黙な彼は必要以上にモノを言わないから、結構好きだったりする
年齢的にも弟みたいな感じ...
基本は、シンに対するオレの愚痴を聞いてもらっている(本当に聞いているかはわからないが)
「ライさん、シンさんが捜してました」
『えっ?オレ何かしたっけか...』
思い当たることがない...と思うが
「いや捜していたというよりは
オレのライはどこに行ったーっと叫んでいました...
たぶん、ジャーファルさんに見張られてるんスよ」
『ああー...目に浮かぶよ』
こんなにマスルールが喋っているのは
初めて聞くかもしれない
いつも、一言二言だしな...
『だったら別に、急いでいく必要も無いよな...』
「そうっスね...」
マスルール自体も、特別オレを捜していたわけではないようで
そのまま木に寄りかかり寝る体制に入っていた
オレは、目が冴えてしまったため
予め持っていたシンドバッドの冒険書を読み始めた
色々つっこみどころ満載のそれも
このゆっくりとした時間の流れの中では
さして気になりはしなかった
数時間後−−
『...終わったー』
読み終わった本を片手に、木から飛び降りたオレ
マスルールはまだ眠っているようだ
タタタタッ
『ん?ジャーファル?』
足音の先に目を向けると
息を切らしたジャーファルが怒りながらやって来た
「いたー!!マスルール、アナタ仕事を放って置いて、何暢気に寝ているのですか!!」
「...休憩っス」
「何時間休憩してるんですかアナタは!!」
寝ているから非番だとばかり思っていたが、なんと今日は仕事の日だったらしい
その場でガミガミ怒っているジャーファルが、上にいるオレに気づいた
「だいたい、ライさんも気づいていたなら教えてくださいよ!!」
『えっ知らなかったし...』
「だとしても、放っておいたのなら同罪です!!」
『んな、理不尽なー...』
結局、オレまで怒られるハメになった
執務室のジャーファルの机の傍で
床に正座させられ小一時間説教されたのだ...
途中、仕事を終えたシンが入ってこなかったら
この説教は、もっと続いてただろうよ...
考えるだけでも怖い...
そしてその日から
オレはジャーファルから呼び捨てされるようになった(敬語ではあるけど)
まあ距離が縮まったと思えばいいのか...な?
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