Lei lo vuole!

□足
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「ッ涙!!!!!」

「け、んやせんぱっ」





私を呼んだのはいつもでは考えられないくらい張り詰めた声だった

見たこと無いくらい焦ってる

少し霞んだ視界でも分かるくらい


謙也先輩を見た姫華ちゃん焦ったみたいに私の首から手を離した

急な酸素で苦しくなって、涙が出てくる


俯いたままこっちに歩いてくる謙也先輩

そんな先輩に、姫華ちゃんはなぜか焦りながらも笑ってる





「けんやっ、?私、あのっ、」

「消えろ」

「え?」

「早よ消えろ言うてんねん。今の俺は何するか分からんぞ」

「ひっ…!」





鋭い声だった

私に向けられた言葉ではなかったのに、私まで恐怖を感じたくらい

いつも笑ってるイメージがあったから別人みたいだ


姫華ちゃんも悲鳴みたいのをあげたと思ったら、風のように出て行った

あんなに早く行動するところ初めて見たんだけど





「せんぱい!」

「!!なんや?」

「助けてくれて、ありがとう、!」

「そんなん助けるんは当たり前やろ?」

「すんごく嬉しかった!」

「!おっおん。てかそれ以上に大丈夫かいな、めっちゃせき込んどったけど…!!」

「あ、うん、ちょっと苦しかっただけだから大丈夫」

「それやねやったらよかったわ!さすが浪花のスピードスターっちゅー話や」

「いや意味分かんないから」





いつもみたいにふにゃっとした笑みを浮かべる謙也先輩

やっぱり謙也先輩には笑顔が似合うと思う

見てると周りを幸せにできるよね

これがマイナスイオンってやつかな





「空気清浄機?」

「いや涙のが意味分からんわ!!!」

「あ、意味分かんない自覚あったんだね」

「……絶頂!」

「今度はパクりか!」

「パクりやのうて真似!!ユウジらもやってるやん!!!」

「似てなかったからついパクりかと、」

「涙酷ない!?」

「これが素だよ」

「やっぱ財前の妹や!!!」

「…そういえば似てるなんて初めて言われたかも」

「まぁ似てんの黒髪と目の色ぐらいやしな。でも性格も似てたわ、さっき発覚」

「ごめん、反応に笑えた」

「鬼畜兄弟か」

「光は優しいよ?」

「あれのどこが優しいねん!」

「全部に決まってるじゃん」

「そうや、涙の前では別人やねやった」

「別人?」

「イヤナンデモナイデ」

「急に片言なんだけど、」





さっき殺されかけたことなんて忘れそうになっちゃうくらいバカな会話してると思う

でも、まぁいいかって考えちゃう私はそれ以上にバカらしい





「…ちょい赤なってるやん」

「!え、あ、そうなんですか?」

「まあ自分で見えへんしなー」





謙也先輩が急にベッドの上に片手をついて私の首に触れた

思わず肩を揺らしてしまう


なんだかその指先から熱が送られてくるみたいにジワジワ触れられてる部分があったかくなっていく





「痣なってまうかもしれへんな」

「じゃあマフラーでも巻いてるね」

「アホ。そんな場合ちゃうやろ」

「消えるんなら気にしないよ」

「……はぁ。俺の涙になにしてんねんアイツ」

「……………え?」

「は?」

「いっ、いま俺のって、」

「そう……………あ"、」

「冗談だよね、あっあははは……!」

「せっせや!ちょっと口滑らしてもうて、」

「はぁ?!」

「!!あ、いや、!!!」





顔を真っ赤にする私と謙也先輩


今の言葉だけだと先輩が私を好きみたいだ

そんなのあり得ない、って分かってるんだけど目の前の真っ赤な謙也先輩を見てると期待してしまう

心臓がうるさい





「…ッ涙!!!!」

「!はい!!!」

「おおおお俺は、っ涙が、」




 バンッ




「せんぱーい、迎えに来ましたでー」

「けんやー、何してるんー?」

「死なすど」


「ひいっ、ななんでお前らがここおんねん!!?」





急に扉が開いたかと思ったら、そこには蔵先輩と光とユウジ先輩がいた

3人ともすごい笑顔

謙也先輩はさっきとは正反対に、顔を真っ青にさせた

私は真っ赤になった顔なんて見られたくなくてシーツで隠す





「言い訳は後で(たぶん)聞くから、ほな行こか」

「涙、なんもされてない?このヘタレになんもされてない?」

「ヘタレてなんや!!!あと副音声つけんのやめて!!!!」

「よし、食堂まで連行や」

「了解ッスわ」「おん」

「ひぃぃい!!!!!」





光とユウジ先輩の両腕を掴まれた謙也先輩

そのまま出口まで引きずられていく

ちょ、ベッドから落ちたとき明らか痛い音したよね





「涙!!!!さっきん続きは絶対言うから!!!!!」

「!!待ってます!!!!」





胸が高鳴った気がした































これにて終幕

(余計に殺されたいんですか?Mなんですか?)
(目がマジやねんけど!!!?)









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