ヘビのお嫁さま

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あの天文学の授業があった夜

本当にびっくりした

でももし、マルフォイが私に話しかけてこなかったら私からは話しかけるつもりがなかったから、いい意味で変わった気がする
(さすがにあんな積極性は求めてなかったけど)

あれから、遅いからってグリフィンドールの寮の前まで送ってくれたマルフォイ

寮に入った瞬間、ハーマイオニーとアンとパレスに抱きつかれた

その後ろにもハリーとロン、フレッドとジョージとかグリフィンドールでよく話す面々がたくさん

息する間もなく、その全員から身の安全を確認される

マルフォイだから仕方ないのか

抱きついてきた3人には身体中変なところがないか触られたくった

ここでドサクサに紛れて触ろうとした双子にはデコピンをお見舞いしておくのを忘れない

ここで、大音量で目覚まし用に魔法をかけた犬のぬいぐるみが吠え始めた

見慣れたそれは、パレスの枕元にいつも置いているぬいぐるみ

犬種はアジアで有名なシバイヌってやつだって教えてくれた

私の帰りがあと二分遅かったら迎えに行こうとしてセットしておいたらしい

ソファーや暖炉を縫うように走り回るシバイヌの耳を撫でて止めようとパレスが追いかけてる間に、その大音量の鳴き声のせいでグリフィンドールの皆が起きてきた

やっと捕まえて鳴き声が止まる頃には、ロンが事情を膨らませながらその皆に話すせいで、シバイヌの鳴き声なんかより談話室は騒がしくなる

外から太ったレディが怒るくらいにうるさかった

すごく笑顔でスリザリンに乗り込もうとしてるハリーを止めたり、騒ぐみんなを宥めたり
(スリザリンの寮にトロールの臭いがするロウソクを置こうとしてる双子に関しては別に止めなかったけど)

だって、私はただ仲直りしただけだから騒がれる意味が分からない

そしたら、次はブレーズと仲がいいだのに話が飛んで、もう収拾がつかなくなった

5分で面倒くさくなってしまったから、無音魔法をかけてベッドに戻る

ついでに私のベッドのカーテンに、開かずの魔法をかけて就寝する


次の日の朝、昨日の夜より皆が煩くなってたからその選択が失敗だったことが分かった

欠伸をしながらロンとトーマスと食堂まで向かいながら痛感

特にロンが煩すぎた

別にただ仲直りしただけだし、何がそんなに気になるのか分からない

食堂に入って、私の定位置になってる、あんまり日光が直接当たらない椅子に座る

ちょうど大好きなホットミルクと蜂蜜が近いからお気に入り

両隣に2人が座って、日課のホットミルクを作ろうとした時急に目の前に緑が目に入った




「チベッサ、おっおはよう」

「あ、マルフォイ、おはよう」

「!まるっ、……、いや、なんでもない。これ、母上が送ってくれたんだが多かったんだ。もしよかったら、」

「これ有名なハーブティーだよね、こんなもの貰っていいの?紅茶は好きだから嬉しいけど…」

「どうせ余ってしまうから気にしないでくれ」

「ならありがたく貰っておくね!ありがとう、早速後で飲んでみる」

「!いやっ、いいいっいいんだ!じゃあ!」





駆け足でスリザリンのテーブルに戻っていったマルフォイ

途中でつまづいてたのは見なかったことにしとく

スリザリンのテーブルのみんなは有り得ないって顔で私とマルフォイを見てた

その中でも、戻っていった先のテーブルに座ってたゴツイの2人と何人かの女の子の顔は特にすごかった

グリフィンドールからも、後ろのハッフルパフからもレイブンクローからも視線を感じる気がする

この前友達になったレイブンクローの女の子がなにか物を落としたらしく、一緒にいたであろう友達が名前を呼んでいるのが後ろから聞こえた

隣を見てみると、トーマスが見たことないくらい口を開けてて、次に反対の隣を見てみると、ほら見ろって顔でロンが私を見てた

なんだか恥ずかしいのとムカつきがこみ上げてきて、思わずこの前双子に教えてもらったビンタの魔法をかけてた。ごめんねロン


もう、私の知り合いという知り合いがその日のうちに事情を聞きにきた

あんまり会わないハップルバフとかレイブンクローの先輩とかはフクロウに手紙を持たせてまで聞いてくる

おかげで私の周りにはフクロウでいっぱい

頭と肩とか、乗れるところに全部乗ってるし、後ろから何羽かついてきてる羽音が聞こえる

みんな、お願いだからご主人のところに戻るかフクロウ小屋に戻ろうね

けど、言えることは仲直りしただけとしか言いようがない

今日のあのハーブティーだって、本当に多かったから、それか、私が好きってことを知ってて仲直りの印でくれたものだと思うし

その日ばっかりはスリザリンの女の子からの視線がいつも以上にすごかったし、コソコソ陰口まで聞こえる

まあ溜まったフラストレーションの矛先は言わなくても分かるだろう

その日のスリザリンの寮からはトロールの臭いがしたり、カップケーキを食べたりしたらおできができたり事件がたくさん起こったらしい


それだけで終わりだと思った、正直に言うと

でも、授業が被ればいつも隣の席はマルフォイ

ご飯の時は毎回わざわざグリフィンドールのテーブルまで来て挨拶してくれる

休み時間にスレ違いでもすれば、早歩きでこっちに寄ってきて話しかけに来てくれる

極めつけは、毎朝母上が送ってくれたものをくれること

多かったり、マルフォイが好きじゃないものだったからだったり、私が好きだと思ったからだったり

いや、たしかに私の全部好みのものばっかりだけど

その影響で、トゥルーエ家に取り入りたい子たちまでフクロウで私になにかをくれるようになってきた

大半はスリザリン

そのくせ、マルフォイが私のところに来ているところを見るとものすごい目で見てくる

寮とか関係無しに仲良くしてきた私でも気にするくらい

この前、ブレーズと話してたときは普通に挨拶しながら間に割り込んできた

仲直りの反動が大きすぎないかな

最初は心配してたグリフィンドールのみんなも、最近は名物みたいなものになってて面白がってるみたい

ロンとハーマイオニーだけは、猫みたいに今でも警戒してくれてるけど


毎朝貢物みたいにくれるから、さすがに今日は言っちゃった

隣のハリーのグーサインは見えてないことにしておく





「フクロウ…?」

「せっかくマルフォイのお母様が送ってくれたのに、毎朝私がもらってちゃ悪いよ」

「母上が、チベッサにもおすそ分けしてるって伝えたらぜひあげなさいって余計に多く送られてくるようになったんだ」

「お母様…。…お礼のお手紙書いておくね」

「!ぜひまた僕にも送ってくれると嬉しい」





負けた

羽が生えたみたいに弾みながら席に帰っていくマルフォイ

隣からため息が聞こえる

私からもため息が出た

何回目か分からないけど、仲直りの反動が大きすぎないかな





「どうしたんだい、そんな似合わないため息なんてついて!」

「ああ、フレッド。悪意のない好意ってどう躱したらいいのかな」

「よく僕だってわかったね」

「ふふ、私を舐めないでよね」

「そうだね、君は僕らのヴェーネレだった!そんな僕らのヴェーネレをいじめるのはあのスリザリンの坊ちゃんかい?」

「うん、そうだね。……好意なんてさらさらないんだったら、私からなんとでもできるんだけど、好意を持ってくれてるのに、前みたいないたずらは気が進まないから」

「前みたく、寮にまじないかけるとか?」

「しーっ!ここは大広間なんだよ、フレッド」

「君たち、そんなことしてたのかい?僕も誘ってよ!!」

「ほら、このハリーの輝く目を見てよ!絶対2人のせいだからね」

「ハリーならもちろん大歓迎だ!…でも、僕たちもそろそろ、僕らのヴェーネレを取られっぱなしも癪なのさ」

「……そういえばジョージはどうしたの?嫌な予感しかしないんだけど」

「さあ!レッツショータイムだ!」





次の瞬間大広間は花火でいっぱいになる

弾けたら花びらがでるやつだったり、小人の形の花火が飛び回ってたり

でも、1番大きく目立つ花火がある

でかでかと赤と黄色の花火文字

チベッサ・トゥルーエはグリフィンドールのお姫様

みんながこっちを見てる

いつのまにかにやにやしてるジョージとフレッドが肩を組んでた

遠くからマクゴナガル先生の悲鳴と足音が聞こえる

ああもう、なんでこの学校の子は愛情表現がこんなに激しいの

























安寧の日々よ

(また貴方達ですか!!!!!!)



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