冬の海水浴

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「…………蒼空っち、」






大輝くん………青峰くんに嫌われた


あんな風に思われてたなんて、気付かなかった私はものすごく馬鹿


私は必要なくて、いらない


少しでも仲がいい関係だって自惚れてた私を殴りたくなった



足に力が入らなくなって、その場に崩れ落ちる


涙がでてきた


雨と同化しちゃって、頬を流れるどれが涙でどれが雨かなんて分からない


ただ、視界がぼやけて、目頭がツーンとして、嗚咽が止まらなくなる


私の後ろにいる涼太くんに聞こえてなきゃいいなって考えるけどやっぱりダメかな?


どれだけ拭っても溢れてくる


こんなの、おじいちゃんが死んでしまった時以来だ


ものすごく身体が冷たい


このまま雨で溶かされてしまったら楽になれるかな、なんて考える


青峰くんが好きだと言ってくれた黒い髪から雨が滴り落ちた


こんな髪、私なんて、



次の瞬間、背中に温もりと重みを感じた


視界にはたくましい2本の腕


同時に私の名前も呼ばれる






「そのまんまで聞いて、蒼空っち」


「涼太くん、?」


「こんな時に言うのがズルいことだっていうのは百も承知ッス。けど俺はズルい男だから
…俺、蒼空っちが好きだよ。一目惚れだった。ずっとずっと好きだった。俺たちを支えてくれて、俺を"俺"として扱ってくれて、余計好きになった。俺は蒼空っちの笑顔が好きなんス、だから笑ってほしい」


「そんなこと、………それに私は、」


「蒼空っちが青峰っちを好きなことくらい知ってるよ。蒼空っちを見てたらすぐ分かったスから。っそれでも、好きなんスよ、蒼空っち
今は青峰っちが好きなままでいい、諦められないんなら。けど絶対幸せにするし、青峰っちのことなんて忘れさせて俺を好きにさせてみせるよ。俺が蒼空っちを笑顔にするから。…だから、こんなズルい俺にチャンスくれないスか?弱ってる時に漬け込むなんて、ほんとにズルいって分かってるんス。こんな時しか気持ちを伝えられない俺を許してほしいス………!」


「りょ、た、くん……………」






ほんとにズルいと思った


私を抱きしめてくれてる腕が弱々しく震えてるのが分かる


青峰くんが好き


けれども涼太くんの気持ちを聞いて大きく傾いてる自分がいて嫌になる


私に好意を持ってくれている人を利用するなんて、涼太くんがズルイとか言ってる私のほうがズルくて醜くて穢い



ほんとに忘れさせてくれる?


ほんとに私を認めてくれる?


ほんとに、私を好きでいてくれる?






「わ、たし、






人生でいちばん私を嫌いになった日だった










































堕ちる世界

(ほんとに好きでした)









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