冬の海水浴

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 青峰SIDE






「ふー、しんでー」

「座るな、邪魔だ」

「るせーよ」





部活の休憩時間

俺はその場に座り込む

いつも通りしんでー

俺が疲れるとか、絶対うちの学校の練習以外ありえねーな


俺が座ったら緑間がなんかゴミ見るような目で俺を見た

別に傷つかねーけどさ、ひどくね?

ま、いいけどよ


練習が終わったら1つ楽しみがある

それは蒼空が最初に俺にタオルとドリンクを持ってきてくれること

頼んだわけじゃねーし、蒼空が言ったわけじゃねー

なんつーか、それがもう当たり前

俺にタオルとか渡してからほかの奴らのとこに配りに行く蒼空

正直ほかの奴らに配りに行くのは許せねーけどなんか優越感を感じる

俺が蒼空の1番みてーで、すげー嬉しい


俺の名前を呼びながらいつも笑顔で持ってきてくれる

柄じゃねーけど蒼空の笑顔見るだけで疲れ吹っ飛ぶみてー

そんだけで練習もっと頑張んねーとって思える

ホント魔法みてーだよな

…いや魔法っつーより麻薬

1回足を踏み入れたらもう抜け出せねー

俺は麻薬でいう依存症。もう末期らしい


いつも通り蒼空が走ってくる

無意識に顔が弛んじまう

絶対いま俺の顔は気持ち悪いことになってんな


思わず腕を伸ばそうとしたら、蒼空はするりと抜けて俺を通り過ぎてった

思わず息が抜けたみてーな声がでた

いうことがなぜかきかねー身体で無理矢理振り向く

見た瞬間後悔

そこには蒼空が笑顔で黄瀬にドリンクとかを手渡してた


息ができなくなる

急に周りの空気がなくなったみてー

手足が震える


全部がゆっくりに見えた

けど黄瀬がしゃがんで、その黄瀬の頭に蒼空が触れた瞬間急激に頭が冷えて思考は冷静になってく


なんで俺じゃねーんだ?

なんで黄瀬なんだよ

なんで俺以外に触れてんだ

なんで俺以外に笑ってんだ

なんで、なんで、


一瞬で、頭が疑問で埋め尽くされる

ガンガン頭が痛んだ

胸焼けまでする


目を反らしたいのに

見たくねーのに

黄瀬に寄ってって殴ってやりたいのに

蒼空を奪って、思いっきり深いキスして、抱きしめて、俺のもんだって叫んでやりたいのに

なんで俺の身体は動かねーんだよ



やっと動いたと思ったら足は勝手に出口の方に


蒼空は黄瀬が好きなのかもしれない


頭に浮かんだこの言葉

逃げる自分にまたイライラした


思いっきり扉を開ける




 バンッッ




「「「「「!!?」」」」」

「…………気分悪ィ。保健室行くわ」

「だ、大ちゃん?!…ちょっと待って…!」





返事も聞かずに体育館から出る

無意識に早歩きで歩いてて、その足で体育館の裏に向かった

んで壁を背もたれにしてまた座り込む

唇を噛んでたら血の味がした





























曇天世界

(雨が降りそうだ)








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