冬の海水浴

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あれから放課後

私はさつきちゃんといつも通り部活に向かう

部活では、さつきちゃんがデータ取り、私がドリンクを作ったりするのが日常

けどさつきちゃんは優しいからいつも私を手伝ってくれた


さつきちゃんが征十郎くんと今日の最終打ち合わせをしてる私は倉庫からボールが入った籠を出していく





「蒼空ちん〜、」

「敦くん、どうしたの?」

「重くない?手伝ってあげる」

「いっいやいいよ!私はマネージャーなんだからこれくらい…!」

「マネージャー以前に女の子なんだから無理しなくていいの〜。前から重そうだなあって思ってたんだけどいつも来るの遅いから終わりかけで手伝えなかったんだ〜」

「私結構力あるよ!?ほら、見て!この筋肉!」

「皮と骨しか見えない。もうちょっと肉つけた方がいいよ〜?ほら、これあげるから肉つけなって」

「これ以上私を太らせる気か、敦くん!てか一体どこから出したの」





敦くんボールを入れてる籠を押しながら私にいつも食べてるスナック菓子を差し出す

ホントどっから出したんだろう


運んでくれた敦くんにお礼を言って、敦くんのおかげで早めに終わったからあとは開始時間まで待つだけになった





「蒼空、テーピングあるか?」

「!!え、あ、真太郎くん!あるけど、どうしたの?」

「桃井に膝にテーピングを巻くよう言われたんだ。少し痛めていただけなんだが」

「痛めてるに少しもないよ!!ほら、ベンチ座って?私が巻くから」

「あぁ、すまないのだよ」





真太郎くんをベンチに座らせて、いつもポケットに入れてるテーピングを取り出した

それから膝を少し出してもらって、その側にしゃがみこんだ後テーピングを巻いていく

みんなの役に立ちたくて、本とかを見ながら必死で練習したテーピング

役に立ててるかな?





「…はい、終わり!キツくないかな?」

「大丈夫なのだよ。上手くなったな、最初の頃は無茶苦茶だったのに」

「過去のことは振り返らない!じゃあ練習頑張ってね!」

「あぁ」





練習が始まった

講堂内にファンの子の黄色い声が飛び交う

無意識に大輝くんを見つめてる私に、ただ呆れた


少し練習風景を眺めてからドリンク作りとタオルの用意をし始める

2軍とか3軍の選手たち一人一人にはさすがに作れないから何個かのジャグにドリンクを入れた

いつも通り味は薄いのと普通のと濃いのの3種類

それをいつもの場所に何回か往復して運んだ後タオルを入れた籠と使用済みタオルを入れてもらう籠も一緒に置く

レギュラーのみんなのドリンクを作り始めようとした時さつきちゃんが来てくれた

2人でドリンクを作って、タオルと一緒にレギュラーのコートに持って行く


そしたらちょうど休憩時間になった

いつも通りドリンクを渡すために置いたばっかりのドリンクに手を伸ばす

大輝くんの名前が書いたドリンクに手を伸ばそうとしたところで思い出した



『…なら、これから部活の休憩時間のドリンク、蒼空っちが1番に俺に持ってきてほしいッス!』



そうだ、涼太くんに渡さなきゃ

忘れてた

私は伸ばしかけた手を引っ込めて涼太くんのドリンクを取る

タオルを1つ一緒に取って駆け寄った

涼太くんの驚いた顔が見える





「え、あれ、蒼空っち?」

「はい!ドリンクとタオルだよ!」

「なんで?いつも……」

「お礼に、1番に持ってくるって約束したでしょ?」

「!あ、そうだったっスね!ありがとうッス!!」

「お疲れ様!」

「もう疲れ吹っ飛んだから大丈夫ッスよ」

「え?なんで?」

「な、い、しょ」

「気になる!!」

「また今度ね」

「涼太くんのけーち」

「ケチで結構ッス」

「……わんこ」

「わんこ?!!」





背が私より大きいのに、なんだか年下と話してるみたいな感じになる

ホントにわんこ

無性に撫でたくなっちゃうんだよね





「涼太くん、しゃがんで?」

「?うん、いいッスけど、うわっ!」

「わぁ、やっぱりサラサラしてる!!羨ましいなあ!」

「なっなに触ってんスか……!!」





しゃがんでくれた涼太くんの頭を撫でる

ひまわりみたいに綺麗な髪

サラサラしてずっと触ってたいなって思えるくらい

テツとは少し違う髪質だ





「え、嫌だった?」

「!!あ、そっそういうわけじゃないッスよ!!!!」

「なら良かった!」




 バンッッ




「「「「「!!?」」」」」

「…………気分悪ィ。保健室行くわ」

「だ、大ちゃん?!…ちょっと待って…!」





すごい音がしたから思わずそっちを見れば、大輝くんがファンの子たちがいない方の体育館の扉を開けてた

征十郎くんたちでさえ少し驚いてるみたい


大輝くんが体育館から出て行った時、さつきちゃんが我に返ったみたいに講堂を出て行こうとした

でも私の目の前にいる涼太くんが急に立ち上がってさつきちゃんを制す





「…、桃っち、俺が行くッス」

「きーちゃん?」

「俺が青峰っち見てくるから、………ね?」

「…分かった!じゃあ頼むね!」

「うん!…じゃあ行ってくるッスね、蒼空っち」

「あ、いってらっしゃい…!」





今度は涼太くんが私の頭を撫でていった

なんだか少し悲しそうに笑った気がする
































モザイク世界

(きーちゃん……、)








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