我流をゆく!

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「え、また俺かりだされんの?」

「お前は暁の一員なんだ、当たり前だろう」

「俺幹部じゃないくせに使われすぎじゃね?」

「貴女の任務成功率は100%だから見込んで頼んでいるのよ」

「小南の姉貴、そんな褒めないでくれよ!」

「だからお願いね、ありがとう、期待してるわ」

「は、はめられた!!!」

「今回の任務は湯隠れのある地域の殲滅だ。徹底的にやれ」

「…その地域の奴らは何をしたんだい?」

「なにも。ただ見せしめだ」

「……いひ、リーダー大好きだぜ、そんなところも」

「俺も暁にはお前が必要だと考えている、そんなところもな」





思わず熱の篭った目でリーダーを見てしまう


ああ、この人に俺の芸術を理解させてえ

この人を俺の芸術で殺したい


瞳が疼きだしたから、外套を翻して足早に部屋を去る

あれ?俺ただの厨二病じゃね?









































あの後すぐに言われたところに向かった

どこにでもあるような村

湯気が立ち込めてて、見えるのは老若男女の笑顔ばっかり

幸せそうな村だ


今回はどの芸術で壊してやろうか考えてたら、足のポーチに入れてた巻物が大きく波打った気がした

やっぱコイツでいくか

紫色の巻物を取り出して、勢いよく開ける

巻物のくせして血液はいるわ、結構取られるわ、コイツは特別

噛んで血液が滴る親指を数秒巻物に押し当てて、素早く印を結べば、湯けむりとは違う白い煙で包まれる

その中心に闇雲に手をつっこめば、あったかくてツルツルとした触り心地

口角が上がるのが分かった


煙が消えて、目の前に見えたのは小さい龍

小さいっつっても、俺の倍以上はあるけど

白い龍

光が当たる度に全身の鱗が七色に輝く


俺の家に伝わる巻物だった

けれど、契約に失敗すると八つ裂きにされる

てことで何代も放ったらかしておいて、俺に託された

俺も契約するときにコイツに殺されかけたけど、今じゃ立派な主従関係

コイツは喋れない

けれど、俺の言葉は分かるみたいだし、撫でると気持ちよさそうにうねる

名前は分からねえからそのまんまハク

屈伸を軽くして、もう一度村を見れば、俺の存在に気づいたのか、騒がしくなり始めた





「……ハク、派手に暴れろや。俺を興奮させてくれよ」





一鳴きしたハクと一緒に村に飛び込む
































「あー、興奮するわ」





炎に包まれる村

村全体を黒い煙と、いろんなものが焦げる独特な臭いに覆われる

安定の俺の外套は血が固まって真っ黒

パキパキしてる


今回は術式と体術だけで殲滅

俺は火遁と水遁が使える

なんて対照的だ

まあ、瞳使えばどれでも使えるんだけど

サクラとかみてえなあそこまで馬鹿力はねえけど、チャクラ込めたらあれ以上は普通にでるからそんな感じで向かってくる奴は体術で蹴って殴って、まあとりあえず倒した

そんで逃げる奴らには忍術で

思えば、久しぶりに忍術体術使ったかも

殺して殺しまくる俺を恐怖する瞳には狂ったように血をいっぱい見て興奮して笑う俺が映ってた


こういうのは生き残りを出しちゃいけねえ

後後復讐を、ってやつが大半だから

まあそんな奴らも蹴散らすけどな

村を徘徊する俺の右隣後ろをハクがついて飛んでる

正直、生き残ってるやつがいるかいないかなんてすぐに分かる

それが分かっていながらあえて徘徊する

俺が、その隠れている焼け焦げた家に近づく度に動悸が激しくなっているのまで分かんだぜ?

楽しくて楽しくてにまにま

たしかこれで5周目

チャクラは感じねえから一般人

そんで、たぶん俺よりちょっと年下くらいの女の子

そこまで分かるなんてさすが俺

あえて近くの建物を蹴飛ばしてみる

燃えて脆くなっていてのもあって、簡単に崩れた

ビクってなったな

さーて、あと2周くらいしたら見つけてやろうか


そう思って踏み出した瞬間、急に後ろから気配がした

かわいい女の子であろうその声が、煙かなにかで掠れちまったのか、若干野太い声で叫びながら俺に迫ってくるのが分かる

首だけで後ろを見れば、俺のタイプではねえけど、かわいい女の子がすごい形相でナイフを俺に構えて走ってきた

ああ、おっせーの

振り向いて、その女の子と向き合う形に

なんだか楽しくて仕方なくて、自分でも満面の笑みなことが分かった

女の子を受け止めて抱きしめるようにして、ナイフを手で掴んでやる

手のひらから簡単に血が吹き出した

肉が切れるリアルな感覚

痛くて痛くて笑顔になる

そのまま女の子に向かって優しく微笑んでやれば、すぐに分かるくらい怯えた表情になった

ハクが一声怒ったように鳴いたから、攻撃しないように手で制す





「こーんなもんで俺を殺れると思った、お嬢さん?」

「だ、だって、あ、」

「素手で頭吹っ飛ばすような奴だぜ?んなもんで死んだら冗談としてもおもしろくねェ」

「ッアンタは、私の家族も、友達も、あの人も………!!!!!」

「いひ、そりゃ悪いね、こっちも上からの命令なんだよな。暁の名前を知らしめるためにこの村は残念なことに選ばれちまったんだ、可哀想に」

「たっただの、名前を知らしめるために、そんなことのために、わたし、たちは…………?」

「そう、皆殺し!まあ俺の芸術で死ねたからいい方だって!つかお嬢さんは俺のタイプじゃねェけどかわいいからできれば殺したくないんだよなあ。ここで記憶を消されて生き残るか、この村の惨事をほかの奴らに言いふらすために生きるかどっちがいい?」

「ッッ人殺し!!!!!!血も涙もない!!!アンタなんて化け物よ!!!!!!人じゃない!!!!!!」

「…………あ?」

「ひいっ、」

「今、なんつった」

「ごっごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

「……気変わった。ハク、」





次の瞬間目の前の女の子は炎に包まれた

叫び声ともいい難い音が響き渡る

熱いんだろうなあ、悶えて悶えて、ついに崩れ落ちるように倒れた

綺麗だった髪の毛も、大きくてクリクリした目も、全部燃えて、独特な臭いがする


嫌なこと思い出した

胸糞悪くて、思わず近くの燃えかけてる家屋を蹴れば簡単に崩れた

変に情けかけちまったからこうなった

自分に対してもイライラした

身体からチャクラが勝手に溢れる

次の瞬間すぐ近くにチャクラを感じて瞬発的にソイツに殴りかかろうとして当たる寸前で止められた





「おい、ひでえじゃねえか、憂輝、うん」

「、デイダラ」

「憂輝ならオイラのチャクラでオイラって分かるだろ?いきなり殴りかかってくるなんてびっくりしたぞ、うん!」

「……わり、イライラしてたわ」

「、そうか、うん!いや、昨日からの任務の帰りに、ハク?の鳴き声が聞こえたから来てみたんだ」

「お前の耳は野生並みだな」

「アイツの鳴き声は特殊なんだぞ、うん!覚えたら結構遠くても聞き取れるんだ」

「あぁ、昔はよく焼かれてたからな」

「あれ本気で熱かったんだぞ、うん!!?」

「そらそうだろうよ」

「ていうか外套血だらけだな、憂輝。オイラはそんなに血を浴びんのは好きじゃねえまだ綺麗なほうだけどよ、憂輝と飛段はなかなかひでえな、うん」

「オレはこれで興奮するからな。相手の血を浴びなきゃ殺ったって感じがしねえだろ」

「お前だけだっての、うん」

「………今日は疲れたんだ、久しぶりにデイダラの芸術に乗せてくれよ。あれの乗り心地もマシになったかい?」

「当たり前だぞ、うん!!!俺の芸術は常に進化し続ける!!」

「そうかい」





焼け焦げた村を後にして、デイダラの鳥が置いてあるところに向かう

数分も歩かないうちにそれはいて、昔はよく乗ったそいつの上に乗った

デイダラと寝転んでる俺がいてもまだスペースがあるそいつはたしかに昔とは変わって乗り心地がマシになったと思う

風が強くて外套が飛んでいった

またコピればいいや

あの血だらけの外套はどこまで飛ばされんだろ

それを見たデイダラはもったいねえだろって怒ってた

どうせ一緒なのに

ぱたぱたとなびくデイダラの外套はすげえうざい





「拾ったやつはどんな気持ちになんだろうな、うん」

「知るかっての」

「なかなか拾いたくねえな」

「俺はまったくいらねえよ」

「おまえは暁なんだぞ、うん!」

「俺は俺の目的とデイダラのためだけに入ったし、」

「!おっ、オイラそんなこと言われても照れねえんだからな…………!」

「お前俺が心読めるってわかってるよな?照れんなって」

「く、くそ…!」

「ばーか」

「っオイラだって憂輝の考えてること当ててやれるぞ、うん!!」

「なんだよ、言ってみろよ」

「お前は、憂輝は、人間だぞ、うん!!!」

「!」

「灘木の名なんて関係ねえ!オイラは憂輝のし、しっ親友で、オイラは憂輝が大好きだ!!!!お前のことを、っば、化けもんとか、呼んだり、お前を傷つけるやつはオイラが許さねえ、うん!!!!」

「、デイダラ、」

「何年一緒だと思ってんだ、うん!!!!」

「……ああ、そうだったな。俺としたことが、そんなことも忘れてたよ」

「憂輝、もうアジトに着くぞ。久しぶりに一緒に寝るかい、うん?」

「調子のんなよ、ばーか」



















忘れてたよ

(俺がなんでも、アイツはそばにいてくれる)









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