我流をゆく!

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 飛段SIDE





「憂輝、飛段、任務だ」

「は、俺と飛段かよ?!角都の旦那とツーマンセルだろ!?」

「今回はお前と飛段が適任なんでな」





ある日

湯隠れの外れで買ってきたまんじゅうを食いながら自分の部屋でぼーっとしてたらリーダーに呼ばれたからみんなが集まる部屋みたいなのに行ったら、いたのはリーダーと憂輝

まさかと思って話を聞いてみたら、俺と憂輝と2人で任務らしい

憂輝は机の上に脚置いて、手からチャクラ玉を出して遊んでるみてーだ

なんで俺たち?





「嘘だろ?嘘だって言ってくれよリーダー」

「謝る気はないが、真実だ」

「おっ俺のしょ………もうねえんだった」

「ゲハハハハ、ねえのかよ!」

「つか俺と飛段が適任とか、どんな任務だよ」

「ある家の家宝と呼ばれる琥珀を盗ってきてくれ。隠し部屋にあるらしいんだ、また飛段が暴れている間に憂輝が探せ」

「…琥珀?一体どこの里だい?」

「岩隠れだ。いけるか?」

「もしかしてあの岩隠れの名門かァ、リーダー?」

「あぁ、そうだ」





岩隠れの名門家

名前なんて忘れた

チャクラが多くて、何代かに1人は名をあげる忍になるって有名な家

たしか角都から前聞いた

今の当主は結構な年齢いってるらしい

その家の家宝の琥珀

これといってなんの能力もねえけど、遠目は炎、近く覗けば夕暮れが見える

とりあえずそれくらい綺麗みたいだ

まァ財政難の暁にとっちゃちょうどいいんだろうな


隣で、チャクラ玉で遊んでた憂輝はいつのまにかリーダーをじっと見てた

そっから1回目を閉じたと思ったら、ゆっくり目を開けた憂輝

その瞳は最初逢った時と同じでガラス玉に亀裂が入ったみてー

憂輝の犬歯が見えるくらい楽しそうに口角をあげる





「……リーダーも悪い人だよなァ」

「?」

「いひひ。いいぜ、やってやろうじゃねーか。盗ってきてやるよ」

「任せたぞ。では行ってこい」

「はーいよ」「んじゃいってきまーす」





憂輝はいつも通り外套を出して、口元を隠すようにして羽織った


































「さすが名家、でけー!」

「そうか?」

「俺は今回暴れときゃあいいんだな?」

「いや、んなめんどくせえことしなくていい。とりあえずついてこい、んで、向かってくる奴は全員殺れ」

「?あいよ」

「あとこれ付けといてくれ」

「耳栓かァ?」

「あぁ、指示はジェスチャーかリーダーみてえにするから」

「なんでだよ?」

「あとでちゃんと説明してやるから今は付けとけ」





憂輝の瞳から出したデイダラのやつをいじくったらしい鳥で、あるでっけー家が見える山の竹林の中に

もう夜だった

憂輝が差し出してきた耳栓をしゃーなしでつけてやる

途端に無音の世界に


憂輝は髪をかきあげて、家の庭に飛び降りたから俺も追いかけるように飛び降りた

地面に着地した瞬間全方向からクナイが飛んできて、慌てて弾き落とす

前の憂輝もクナイで弾き落としたみてーだ

さすがにトラップなしなわけねーか

憂輝はこっちをちょっと見てから、普通に廊下に上がって歩き出したから慌てて追いかける

たくさん部屋から忍がでてきた

憂輝はこっちを向いて、ゆっくり口元を動かす

"家を壊すな"って?

俺の戦い方的に酷じゃねえか?

憂輝は黒い刀で斬りに斬って、斬りまくって、通った後の部屋の襖は血で真っ赤っか

正直、憂輝が斬りまくってるから俺にはちょっとしかまわってこねーんだけど


つか気になることがひとつ

憂輝が斬り捨てる前とか、絶対驚いたみてーになにかを叫んでる

俺らが暁だから驚いてんのか?

でも憂輝にだけは武器とかを向けようともしねーで殺されてく

なんだァ?


次の瞬間、頭を殴られてふっとんだ俺

そっちを見れば、返り血でほんとに真っ赤に染まってる憂輝

真っ黒かった刀も真っ赤

俺が倒れたところもさっきまで生きてたやつらの上で、なんもしてねえのに俺の外套も真っ赤

さすがに赤見すぎてクラクラしてきた

つか今の衝撃で耳栓取れちまったし

憂輝は親指で、憂輝の後ろにある部屋を指差す

それに頷けば、憂輝は勢いよくその部屋の襖を開けた

部屋にはジジイと、おばさんとおっさん

その目は恐怖とか驚きとか、いろんなもんに染まってる





「………よォ、ひさしぶり」

「ッ憂輝!!!!!?」

「なぜお前が!!?」

「ひさしぶりじゃのう、憂輝」

「なにしに来たかなんて、アンタらでもさすがに分かってンだろ?」

「あっ、あれはあげるから助けて頂戴…!!!」

「わたしたちはお前の肉親なんだぞ…?!!」

「!!」





次はこっちが驚く番だった

肉親?

たぶんあのジジイが当主

思わず間抜けな声を出しちまって、憂輝がちょっと振り向いた

おっさんとおばさん、つーか憂輝の母親と父親らしきやつはすんげー怯えてんのに、ジジイだけは分かってたみてえに落ち着いてる





「才能がねえアンタらと肉親となんか思いたくねえけどな。あ、ジイさんは別だけど」

「!だっ黙りなさい!!」

「なァ、ジイさん、アンタの子供は自分で殺してそっから俺に殺されたいかい?それともアンタを先に殺して、子供の死はやっぱり見たくないかい?」

「は、」「なにを言っているんだ!!」

「…そうじゃのう、」





次の瞬間、憂輝の足元にはさっきまでくっついてた筈のおっさんとおばさんの首が転がってた

ジジイの手には2本の小刀

憂輝は朝みてえにチャクラ玉を出して、その首の方を向く

そんでチャクラ玉に向かって軽く息を吹きかければ、チャクラ玉から炎がでてきて首は簡単に燃え上がった

2つを庭に蹴り飛ばした憂輝





「真ん中にしようかの」

「真ん中ァ?」

「おぉ、真ん中じゃ」

「ジイさん、俺はアンタには世話になったほうだと思ってるんだぜ、これでも?だからせめて俺の芸術で殺したかったんだけどな」

「その割に生還という選択肢はないんじゃな」

「ここは潰す。そう決めてきたからな」

「そうじゃったな!ほれ、お前らの欲しいもんはこれじゃろ?」

「!そうそう、それだよ、ジジイ!!」

「あと忘れもんじゃ、憂輝」

「さすが、よく分かってんな、ジイさん。ついでに持って帰ろうとしてたんだよな」

「ワシをだれだと思っておるんじゃ」

「、そうだったな」

「じゃあの、憂輝。いい忍になれなんてもう言わん、お前がそこ、暁で、過ごしたいなら別によい、悔いなく過ごせ。お前はこの家で過去にも例がないほどの逸材じゃったよ」

「………俺と飛段を殺して、助かろうとは思わねえのかよ、ジイさん?アンタなら腕一本くらい俺たちから、」

「老人はもう休むとする」

「…そうか。じゃあな、ジイさん、地獄でまた逢おうや」

「お主だけじゃよ」





ジジイが投げた琥珀と巻物を持って憂輝が部屋を出たから俺も慌てて追いかける

憂輝がしゃべらねえから、俺にしちゃ珍しいけどしゃべらねえ


殺されるってのに刀を向けなかったわけ、驚いたみてえになにか叫んでた意味が分かった気がする

たぶん名前でも叫んでたんだろうな


大きい門から出る

そっから、憂輝が脚につけてるポーチからマッチを取り出したと思ったら、すって、家に投げた

最初、消えたかと思ったのに、すぐに大きくなって、家全体を包み込んだ

また真っ赤

黒々しい煙が真っ黒な空に吸い込まれてく

んで、琥珀を見つめてたと思ったら、無言でその炎の中に投げ入れた憂輝





「いや、なにしてンだ!!!!!?」

「あれ偽もん。何代か前の当主の欲にくらんだ夫が本物は売り飛ばしたぜ。つかさっきの話聞いてたんだろ?」

「お、おお、」

「なにどもってんだよ、気持ち悪ィ」

「気持ち悪いってなんだコラ!!!!」

「ただ俺っていう芸術家を産み出した、なんの才能もない人間を殺した、っつっても殺したの俺じゃねえか。逆に俺を産めたことを感謝しやがれ」

「才能がない?」

「そうさ、アイツらはなーんの才能もなかった、だから俺も、なんて思われてたよ。けど俺の才能に気づいて、全部を俺に押し付けた。んであのジイさんは精神的に何度も楽にさせてくれた。俺の夢はこの家を潰すこと。…この家だけは術なんて使わずに無に帰したかった」

「…よかったのかよ?つかリーダーはもしかして、」

「言ってんだろ?アイツらはただの"人間"。殺すことに関してはもう誰を殺そうと構わねえ。リーダーは知ってた。だからこそ俺をこの任務で選んだんだよ」

「………」

「さァて、帰って偽もんでしたって報告しにくか!」

「、おう!」





返り血で真っ赤だった筈の俺と憂輝は、それらが固まったせいで赤黒くなってた



































また逢いませう

(たぶん堕ちるところが違うだろうけれど)













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