我流をゆく!

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「この薬草混ぜたらどうなんの?」

「あ?それはな、――――……」





俺はいま旦那の部屋にいた

理由なんて簡単!毒薬の作り方を教えてもらってンだよ

こればっかりは能力として盗めねェから困る


旦那の部屋には薬らしきもんが入ってる試験管と旦那の大好きなお人形がくそある

壁には巻物がいっぱい

あぁ、なんか必要なもの以外ないこの部屋は旦那らしいななんて考える俺

旦那の部屋にあった図鑑に載ってる、いかにも毒々しい色した薬草を指差しながら旦那の説明を聞く

副作用とか、混ぜ合わせたら違う効果になるとか、分量によって苦しみ方が違うとか、学ぶことはたくさんあるらしい

でもそれが全部頭に入ってる旦那は、いつもは全く思わねェけどすごいなって実感

これで偉そうな態度がなかったらなァ





「失礼なこと考えてたろ、今」

「ごめんごめん、それがなかったらもう旦那じゃねェよな」

「なんの話だ。…あ、その棚のビン取ってくれ」

「あいよー。こらまた紫と赤って、毒々しい色してんな、この草」

「貴重なやつなんだぞ、それ。集めるのに時間がかかった。図鑑のその何ページか前に載ってたろ」

「え?…あ、ホントだ、載っていやがる。もしかして旦那、この図鑑全部把握してるわけ?」

「そこに載ってるやつは全部実験とかも終わらしたからな」

「おおー!よくやるな、そんなの!ちなみに今はなに作ってンの?」

「体内に入ってから、数日後に効果がでるような殺すようの毒」

「完全犯罪できんじゃん、それ!その間にとんずらかませば疑われねェし」

「俺たちが使うわけねェだろ。俺は待つのも待たせるのも嫌いなんだ、すぐに殺す」

「じゃなんで作ってンだよ?」

「なんとなく。あって損はねーだろ」

「なんとなくでそんな薬作るか、普通?」





旦那がさっきくれた、"簡単に毒を作ってみよう(o≧▽゜)o!入門編"って本をペラペラ捲る

こんな本作っていいのかよ、オイ

つか地味にこの顔文字がムカツクの俺だけなのか?





「あ"ー、文字見てると気分悪くなってきやがったー」

「数秒しか見てなかったろ」

「俺は習うより慣れろ派だからこんなん向いてねェんだよ」

「お前から教えてくれって言ってきたんだろーが」

「だって調合とかできたらかっこよくね?全部旦那の薬コピってもいいんだけどさ、それだとただのパクりになるだろ?それは俺の芸術に反するからな」

「お前の芸術ってなんだったっけか?」

「俺の作り出したもんだよ、それこそが真の芸術!それを否定するやつは旦那でも許さねェぜ?」

「フン、永遠の美こそが真の芸術だ」

「だって、いくら永遠だって、見てくれるやつがいてくれねェと一緒じゃねェか!デイダラがいう"一瞬の美"ってやつも分かんねェけど、永遠ってのも分かんねェや」

「たしかにデイダラのは全く理解できねー」

「正反対だもんな。でも旦那、旦那も近いうちに俺の芸術の虜になる日がくるぜ?デイダラも俺の芸術だけは認める。まぁ俺は認めるつもりねェけど」

「アイツが他人の芸術を認めるなんざありえねー話だ。あと俺が虜になるなんて夢物語は捨てるんだな」

「残念ながら嘘じゃねェんだよな、これが。旦那はまだ俺の真の芸術を見てねェだけだよ」

「お前の真の芸術?」

「おぉ!まぁ、今は見せねェけどな!機会があったら見せてやるよ!」

「別に見たくもなんともねーな」

「照れんなって、旦那!」

「なんでそうなる。あと旦那って呼ぶんじゃねー」

「いだっ!!!」





旦那が俺の頭に拳骨を落とした

アンタの拳、人より痛いの分かってる?


思わず頭押さえて悶えてても旦那は無視

また薬を調合し始めた

ひでェ先輩だ





「でも旦那、解毒剤ってどうやって作んの?いまいちわかんねェ」

「お前にしてはいいこと言うじゃねーか」

「え?ひどくね?」

「どんな最強のウィルスとかでも、放った自分がそのウィルスに侵されちゃ、何の意味もなくなる。毒と解毒剤、それが対になって初めてソイツらは価値のあるものになるんだ」

「たしかにそら当たり前の話だよなー。自分がくらってちゃプラマイゼロどころかマイナスありまくりだろ」

「けどな、生物自身が持ってる毒にはほとんど解毒剤ってやつがねー」

「そうなのか?」

「あぁ。アレルギー反応とかを引き起こすのが多くてな、有効な解毒剤はいまだにねー」

「けどどうせ旦那は作れるんだろ?」

「ククッ。俺をなめんなよ?…まぁだいたいは毒が体内に入ったときにできる抗体を取り出したりして解毒剤を作ったりするな。でもその前に毒が体内に入ったときの対処法でも覚えるんだな」

「毒ってめんどくせェな」

「だからこそ奥が深い。ガキのお前には分からねーだろーがな」

「分かりたくねェよ!」





そう言えば旦那に鼻で笑われた。クソッ!

それからなんか思い付いたみてェな顔して、棚から試験管を1本取った旦那

それを持って俺の方に歩み寄ってくる

え?嫌な予感しかしないんだけど

とりあえず旦那は、その憎たらしい笑みをちょっとは隠そうとしやがれ




「俺、嫌だからな」

「なんも言ってねーだろ」

「どうせ新しくできた薬の解毒剤作ったから実験台になれとかでも言うんだろ!?」

「惜しいな、この毒にはまだ解毒剤はできてない」

「殺す気満々じゃねェか!!!つか惜しくねェ!かすってもねェよ!!」

「大丈夫だ安心しろ」

「安心できる要素がいまどこにあった!?」

「いつもは敵の捕虜を使って実験するんだが、最近どっかの誰かが、任務に出る度皆殺しにするから実験台がいないんだ」

「…………」

「さて、誰だろうな?」

「っあぁ、すみませんでした!!これでいいんだろ!?次は生きてるやつ何人かは連れて帰ってくるから許してくれよ!!俺まださすがに死にたくねェ!」

「…フン、」





そう言いながら違う試験管出そうとしてんじゃねェよ






























ポイズンスターディー

(じゃあ解毒剤がある方の実験台になっとくか?)
(じゃあの意味が分からん!!)










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