ただ手を伸ばす

□装
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もし和解後に脱出ゲームに参加させられたら





「コンドル!!!!…あ、れ、ここどこ……?」

「ぶはっ!!!!コン!ドル!!!?楓ちゃん、なんの!あは!夢見てんの!!あはははは!!!!!!!」

「こんな時までうっせェ高尾!轢くぞ!!」






なにかに魘されて飛び起きたら、そこはいやに綺麗な体育館でした

……さすがにバスケは好きだけど、体育館で寝た覚えはない

ていうか、全く覚えてないけどなんの夢を見てたんだ私は

コンドル?

昨日の練習で聞いた俊先輩のギャグしか心当たりがない

いや、ていうかそれが大正解なのか


ここで一旦冷静になって辺りを見渡すと、いっぱい人がいた

まあ今話してた私と和くんと宮地先輩以外皆寝てるけど

これも見事に知り合いばっかり

頭はカラフルな人が多いからすぐに分かった

んん?夢かな?

もう一回寝ようとしたら宮地先輩にデコピンされた

たしかに痛いです、ごめんなさい

今のは絶対デコピンの威力じゃない


話を聞いてみると2人も、私と同じように、いつも通り布団で寝たはずなのに目覚めてみればここだったらしい

ほぼ同時に起きたらしく、状況を把握しようとしてたら私があの寝言と共に起きて冒頭に戻る

とりあえず、恥ずかしすぎるんだけど

今度俊先輩のタオルにおもちゃのゴキブリを巻いてみよう


とりあえず何も進まないから3人で手分けして皆を起こすことにした

二回揺すって起きなかったら頭に拳骨を落としていく起こし方宮地先輩バージョン

ところどころから悲鳴が上がってる

先輩だから、できること

あれ?こんなCMなかったっけ?


私と和くんは体を揺すって起こしていく

途中坊主頭を見つけたけど、それは宮地先輩におまかせすることにした

いろんな人を起こしてる途中、寝ぼけた涼くんに抱きつかれそうになった

その瞬間後ろからすごいスピードでなにかが飛んでくる

それは見事に涼くんの眉間にジャストミート

そのまま涼くんはノックダウンした

ころころとちょうどわたしの方に転がってきたのはプスプスと音が鳴ってる消しゴム

振り向くと、そこにはやっぱりテツがいてあの構えをしてた


楓の危険を感じて起きました


とりあえずお礼を言って次の人を起こしに行く


そんなこんなでここにいる全員が起きた

いるのは、誠凛、桐皇、秀徳、海常、洛山、陽泉、霧崎第一、正邦

それもバスケ部のスタメンだけで、そのスタメンでも全員いたりちょっとしかいなかったり

ほかにも強豪校はいるのに、なんでこの学校なんだろう

姉さんはいるのにリコ先輩はいない

分からないことはいっぱいだ

とりあえず、ややこしいキセキの皆が言うことを聞く征くんと、IQが高くて有名な霧崎の方々と今吉先輩が今の状況を話し合ってる

それ以上多くなると意見が多すぎるからその数人らしい

さすが、頭脳派は違う





「大丈夫、楓?怪我はない?」

「大丈夫だよ!姉さんもなにもされてない?」

「うん!」

「ああ、ここは天国かどこかかな!麗しの天使が!2人も!!!これぞ運命!!俺はまだ夢を見てるらしい!!!」

「そのまんま夢見とけ」

「ふごっ、」

「物理的に夢の中に……」

「流石、楓の彼氏にしてもいい…かな?いややっぱりだめ!ランキング上位の笠松先輩!!ポイントアップです!」

「!なななななんだそのランキング!?そっそりゃなれたらいいけどよ…」

「桃っち!おっ、俺は何位なんスか!?」

「きーちゃんはえっと、」

「私の知らないところで変なランキング作らないで、姉さん!?ていうか結局だめなの!?」

「キセキの皆がいいなって思ったけどやっぱり皆どっかだめだし。楓、他校の人たちとも仲良いからどうかなって考えたけど、私から離れてほしくないから今はやっぱりだめなの!」

「おいどういう意味だ、さつき」

「えー!なんで俺たちだめなのー?」

「はいはい!俺!津川智紀に良き1票を!!!楓さんになら、ていうかむしろ踏まれたい!!!」

「ちなみに、順番は教えないけど、スリートップは、火神くん、若松先輩、テツくん!だよ」

「絶対最後の黒子っちは主観入りまくりっスよね!?」

「タイガに負けるのは聞き捨てならないなあ」

「あ、あっちで若松のやつが噴き出しやがった」

「ほら、お前ら、ちゃんと話を聞くんだ。あと桃井、あとでその判断基準とやらを教えてもらおうかな」

「赤司ー!目が怖いけどどうしたー?」




猫先輩と征くんが話し合いが終わったみたいで私たちを呼びに来てくれた

目がギンギラしてる、怖い

そんな時、汚い機械音の後にたぶんスピーカーから声が聞こえた

知らない男の人の声だ

皆がざわめく

大我はガルルルって音が聞こえそうなくらいスピーカーを威嚇してるし

スピーカーには全くもって埃を被ってなくて本当に新品みたいだ

やっぱりこの体育館は綺麗すぎて気持ちが悪い





『やあ、みなさん、気分はどうかな』

「不愉快に決まっとるやんか」

『ふふふ、それはそうだね。…さて、気になってるであろう、ここにみなさんを連れてきた目的でも教えてあげようか』

「!!!」

『僕の世界で、君たちは漫画の中の登場人物なんだ。そう、誠凛の黒子テツヤくんを主人公にね』

「はァ?テツが主人公?」

「え、僕ですか。なんで楓じゃないんですか」

「楓ちゃんじゃねーの?幽霊くんとかまじウケる」

「そこじゃねーだろ、今驚くところは!?」

「真先輩、ツッコんでくれてありがとうございます!!!」

『楓ちゃんはさつきちゃんと並ぶダブルヒロインさ!ある日僕の前に神様が現れた、なにか1つ望みを叶えてあげようって。僕は君たちのバスケをしてる姿に惚れ惚れとしていた、何度も何度も漫画もアニメも見返すほどには。そんな時思ったんだ、その才能をほかのこと、…戦闘とかに使ってみたらどうかなって』

「!戦闘、だと」

「だからお願いしたんだ!君たちを脱出ゲームの世界に、僕はそれを見てみたいって。そしたらあら不思議、本当に叶ったんだ!!ここに呼んだメンバーは、漫画の中で特に僕が惚れ惚れとしたメンバーだから。」

「…悪趣味め」

『どうとでも言えばいいさ!君たちはもうそこから脱出するしかないんだから』

「つーか脱出ゲームってことは脱出する方法があるんだよな?あと俺、よくホラゲーとかやるけど、ここは綺麗すぎじゃね?逆に怖いけど」

『ああ、そこは僕が卒業した小学校をモデルにしてるんだ。そこはセーフティーエリアだけど、外には王道すぎたかもしれないけどゾンビがうろついてる。そいつらを全部倒せたら君たちは脱出できることになってるよ!校舎が綺麗なのは、僕の楓ちゃんをそんなホラゲーみたいな汚いところに行かせるわけないだろう?』

「…は?」

「僕の楓ちゃん、だと?」

『そうさ!可愛くて儚げで可愛そうな楓ちゃん!才能は神がかってるのにたくさん苦しめられた!そんな楓ちゃんに僕は恋したんだ!…僕は少し変わっててね、好きな子の苦しむ顔が特に好きなんだ。ああ、楽しみだなあ、楓ちゃんはどんな顔を見せてくれるんだろう!!じゃあみなさん、健闘を祈るよ』





ぶちっという不快な音とともにスピーカーの音は切れる

その瞬間体育館の真ん中にたくさんの武器や凶器が入った箱が現れた

銃とかライフルとか金属バットとか金属パイプとかたくさん


聞こえた声に、内容に、鳥肌が立った

周りのちらちらと私を見る視線が気持ち悪い

私の苦しむ顔が見たい?

私はたくさん苦しんできた?

私の、何を知ってるんだ


私はちょうど目の前にいた辰也に目線を向ける

やっぱり向けてくれる視線は穏やかで笑顔だけど、その奥には怒りを秘めてくれてるのが分かった

そして私の言いたいことが分かったのかゆっくり頷いてくれる


近くにあった金属バットを握って体育館の出口に走り出した

辰也もやっぱり分かっててくれたみたいで横を走ってくれてる

横を通り過ぎる時、皆が私を止めようとしたけど、私の運動神経を舐めないでほしい

皆の驚く声や止める声が聞こえる

最後の俊先輩もステップでフェイクをかけて避けた

それと同時に辰也が出口の扉を開けてくれたみたい

その扉の向こうにはやっぱり綺麗な校舎と不釣り合いなゾンビたち

映画とかで出てくるゾンビみたいだ

手を伸ばして、左右に不安定に揺れながらもこっちに歩いてきてる

後ろの方で姉さんの叫び声が聞こえた





「なにしてるアルか!!!!?」

「楓、貴方のせいじゃないから!!っお願いだから馬鹿なことはやめて!!!」

「楓!!!戻ってくるのだよ!!!」


「お願いだからあの2人を止めてくれ!!!!じゃないと!!!」


「!?」





皆の悲鳴が聞こえる

私と辰也は扉の向こうに飛び込んだ
























「っじゃないと!!あの2人だけでゾンビ全滅さしちまう!!!!!!」

「、は?」





飛び込んでまず1発、目の前のゾンビの顔面にバットを叩き込む

振り向きざまに2発横と後ろのゾンビに

横目で見れば、辰也がゾンビのお腹に蹴りをかましてて、そのゾンビが吹っ飛んでるところだった





「辰也!!!とうとう現実にこんなことできるんだよ!」

「ああ、血が騒ぐなあ。どれだけ暴れてもアレックスには叱られないし、1度見てみたかったあのゾンビ!正にファンタスティックだよ!」


「…え?室ちん?楓ちん?」

「楓さん!!輝いてる!!!かっこよすぎる!!!!!やっぱり好きです!!俺も踏んでくださあい!!!!」

「!待っ、待て、津川!!行くぞ春日!」

「はいよー」

「え、え!?どういうことっスか、あれ!?」

「アイツホラーとか苦手だっただろ、たしか?は?」

「…アメリカで、辰也の影響でスプラッター映画とか見だしたんだ。そしたら何故か元々ある程度体術できてた楓と元々気性が荒いタツヤのそりが合いすぎてホラゲーやりこんだり、近所の悪ガキとかを懲らしめるようになって、」

「…ああ、体術を鍛えたのは俺だ」

「赤司くん!?」





















装備は金属バット

(え?金属バット?え?)





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