ただ手を伸ばす

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準決勝当日

勝ったら、その後勝ち進むであろう真くんの秀徳と当たる

まずは正邦に勝たなきゃいけない

でもその前に、これをどうにかしてほしい、切実に





「楓さん!!俺を踏んでくださいっ!」

「楓に寄んな!!」

「それ以上にハゲ散らかしますよ、ハゲが」

「お前らに罵られてもなんにも思わねーから!!楓さん!!!」

「ちょ、来ないでください!」


「楓に近寄んな、坊主頭!!!!」


「ちょ、涼くん観客席から叫ばないで!?」

「楓の視界から失せるのだよ!」

「真くんも戻らないと宮地?先輩が怖い笑顔でこっち見てるよ!?」





目の前には頬を染めながら近寄ってくる坊主頭くんとテツと大我と真くん
(あと観客席に涼くん)

ちょっと数分前のことを簡単に説明すると、アップしてた→坊主頭くんが挑発に来た→あっちのキャプテンさんが迎えに来た→帰る筈だった→見つかった

キャプテンさん、もう1回迎えに来ないかな、と思って正邦の方を見たら、目を見開いて固まってる

リコ先輩が言ってた、春日先輩?も一緒に

ほかの正邦の方々も同じような感じ

リコ先輩は爆笑、順平先輩たちはなぜかいない。なんでだ

それで、真くんがいつのまにかいて、観客席から涼くんが降りてこようとして、いろいろ大変だった
警備さん?に止められてたけど

とりあえず恥ずかしい

ていうかアップしようよ

どれだけこの時間で損してると思ってるんだ

これから準決勝だよね、たしか?





「楓さん!!!次の試合勝つんで俺と付き合ってください!!ていうか踏んでください!!!」

「絶対嫌です」

「即答!!?」

「当たり前です!あと負けません」

「じゃあいいじゃないスかー!」

「……俺たちが勝ったら楓の半径10m以内に入んなよ」

「!大我!?」

「もちろん!俺らが勝つし!」

「黒子、勝つぞ」

「もう決定事項です。楓をあげるなんてありえないじゃないですか」

「…黒子、火神、必ず決勝に上がってこい」

「え、無視なの?」


「誠凛!!絶対勝つんスよぉぉおおおお!!!!!!」


「涼くんはほんとに黙ってて!!」

「あと、俺の名前まだ言ってなかったよな?俺、津川智紀!覚えといてな、楓さん!」

「楓、すぐに忘れてください。記憶から抹消してください」





こんな感じで1回休戦

なんでアップしてないのにこんなに疲れてるんだろう

最後は我に帰ったらしいキャプテンに引きずられていった

ここでやっと順平先輩たちも戻ってきて、私達も控え室に移動する

控え室の中は、やっぱりみんな緊張してるみたいで好きな空気じゃない
(大我とテツはなんだか違う意味で怖いけど)





「全員ちょっと気負いすぎよ。そこで、元気出るように一つごほうび考えたわ!次の試合に勝ったら…みんなのホッペにちゅーしてあげる!どーだ!うふっ」

「…………うふってなんだよ」

「…………」

「ウインク?」

「う"っ、」

「ばっバカヤロー!!"義理でも"そこは喜べよ!!」

「先輩、それとどめです」

「………フ、フフフ、ガタガタ言わんとシャキッとせんかボケー!!!!!!去年の借り返すんだろうが、ええおいっ!!!?一年分利子ついてえらい額なってんぞコラー!!!!!!」

「わりー、わりー、分かってるよ、ククッ!……おっしゃ!行く前に改めて言っとく、試合始まればすぐ体感するけど1年はちゃんと腹くくっとけよ。…正邦は強い!ぶっちゃけ去年の大敗で俺らはバスケが嫌いになってもうちょいでバスケやめそうになった」

「え、」

「!」

「うわ!暗くなんな!立ち直ったし!元気だし!!むしろ喜んでんだよ!去年とは同じには絶対ならねー!それだけは確信できるくらい強くなった自信があるからな!てことで、あとは勝つだけだ!行くぞ!!」

「「「「「おぉ!!!!」」」」」

「あ、あと、これ負けたら楓はあっちのハゲガキと付き合っちゃうからよろしくね」

「………は?」

「さっき決まったの!」

「黄瀬の次はアレか」

「だから絶対勝つわよ!それで、決勝も勝っちゃって楓にホッペにちゅーしてもらうわよ!!」

「え、初耳なんですけど、後ろの!」

「「「「「おう!!!!!!!」」」」」

「さっきより元気があるのはもう触れないわね!」

「私の発言に触れてください!」

「じゃあ行くぞ!」

「あ、僕と火神くんはすぐ行きますんで、先に行っておいてください」

「はぁ!!?」

「?早く来いよ」

「はい」





  がちゃ ぱたんっ




「?どうかしたのか?」

「………火神くんは、バスケを嫌いになったことありますか?」

「は、?…いや、ねーけど、」

「僕は、…あります」

「!!」

「理由は違うと思うけど気持ちは分かります。今はあんなに明るいけど好きなものを嫌いになるのはすごく辛いです緑間くんと話した時に過去と未来は違うと言ったけど、切り離されてるわけじゃありません。この試合は先輩たちが過去を乗り越える大事な試合だと思うんです
だから……改めて思いました。この試合、絶対…勝ちたいです」

「黒子、」

「それで、ふと思ったんです。楓が僕たちの前からいなくなったのはその理由もあるんじゃないかって。僕は元々楓から相談されてました、自分に自信がないことも桃井さんのことについても」

「!そうなのか?」

「はい。……でもそこまでです、そんな楓に決定打があったんでしょう?本気でバスケを嫌になるなにかが。大好きだったものから逃げたくなるなにかが。それを、僕の推測ですが君は知ってる。火神くんは楓が辛いとき、支えて助けてくれたんですよね?いまでも支えてくれてるんですよね?……もしかしたら嫌いになった原因が僕かもしれません、けれど心から君に感謝しています。今まで言えませんでした。本当に、っありがとうございました」

「…おう。お前でもそんなこと言えるんだな」

「楓に関しては別です」

「………黒子、お前のことを信じてねーわけじゃねーよ、楓は。それだけは俺から言える」

「、はい。……あのハゲに楓はやれませんし、勝ちますよ」

「ったりめーだ!!」





























君のことなんて

((お見通しだ))
((なんて言ってみたいね))









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