ただ手を伸ばす

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「ッおめでとう、みんな!!!」

「準決勝だよ決勝だよ!!」

「いや決勝まだだからな、楓?」





危なかったけど、ラスト大我が押し込んでくれて無事白稜高に勝って準決勝進出

控え室はもうお祭り状態

リコ先輩に教えてもらったマッサージを先輩たちにしながらも喜びを分かち合う


ちなみに今は俊先輩で、隣ではリコ先輩が順平先輩をマッサージ中

カロリー補給に俊先輩はぽりぽりカロリーメイト、順平先輩はバナナを頬張りながら、スマホをいじってる

家族に報告してるらしい





「ちゃんと報告するんですね」

「まあな、来たかったみたいだし」

「結構来てるわよね、日向くんのご両親」

「嬉しがりだからな」

「仕事かなにかですか?」

「ん、急に入ったらしいわ」

「それは残念ですね、先輩ものすごくかっこよかったのにもったいないです」

「んー…………は!!?っげほ、げほ!!!」

「え、大丈夫ですか?!」

「ちょ、大丈夫!?」

「きっ気管入った…!」

「うわ、日向きたない!」

「うっせー、伊月!!」

「バナナって食べてたら口が乾燥しますし、よく気管入りますよね」

「それ楓だけだな」

「あとたぶん楓のせいよ」

「え、私ですか!?」

「かっこいいなんて言うからよ。日向くん、言われ慣れてないから」

「地味に傷ついた!!!」

「でもホントにかっこよかったですよ!特に皆に喝入れた時とか」

「!あ、ありがとよ……。!!いっだ!!!!!」

「あらごめんなさい間違えちゃったわ」

「ノンブレス!?俺になんか恨みでもあんのかよ、カントク?!」

「あぁ言っときながら、クラッチ入ってない時は自分が1番草食なのになー」

「お前はまじ黙れ、伊月!!」

「安定の俺の扱いの酷さな、うん」

「ほら、楓、そろそろ伊月くんなんて放っといてあっちのすごいオーラ醸し出してる2人のところ行ってあげなさい。相手してるほかの1年生たちが可哀想よ」

「え、あ、はい」

「もうつっこまない、これ以上傷つきたくない」





控え室の隅の方のベンチに座ってる1年生選手メンバーの皆

こっちからはちょうどテツの顔が見えないんだけど、テツのちょうど目の前に座ってる光樹くんたちの顔が青ざめて泣きそうな顔してる

どんな顔してるの、一体

大我はテツが座るベンチの近くの壁にもたれながら無言で朝私が作ったおにぎりを、またリスみたいに頬張ってた

ここで造一くんとたまたま目があう

なんか直感で分かった

全力で私にはやく来いって言ってる

どうにかしろってことなのかな?

テツが機嫌悪いところなんて見たことないからどうすればいいかなんて分かんないよ

ていうかなんでテツは機嫌悪いの?





「お疲れ様、マッサージリコ先輩してもらった、2人共?」

「楓、遅いです」

「んー、楓、ほちゃほってくへ」

「はい、水筒渡しとくねー。あとマッサージしてたんだから仕方ないよ」

「……黒子の変わりようだろ」

「はい?」

「マジなんでそんな顔変えれんの!?」





私の声に、首だけこちらを向かせてくれたテツはいつもの無表情だった

いや、ほんのり笑顔

大我は口に食べ物詰め込みすぎて、また日本語話せてないし。まぁ通じるけど

光樹くんがツッコんだら、またテツは一瞬首を元に戻した

今度はホントに怯えてるみたいに肩をビクって揺らした光樹くん

その反動で後ろの壁に背中をぶつけたみたいで悶えてるし

なんでだろう?

次は首だけじゃなくて身体ごとこちらに向かせるようにテツは座り直した


「はと、ほれはまっさーひ、ひてもらったへ」

「了解!何回も言うけどそんなに口に食べ物入れて喋らないの」

「いつも思うけどなんで通じんの、楓?俺なに言ってんのか全く分かんない」

「うーん、慣れ?あと、…幼馴染みもよくこんな感じだったからかな」

「へー、幼馴染みいるんだな!」

「、うん。テツはしてもらった?」

「僕まだです」

「じゃあするね!寛くんたちもしとく?」

「いや、俺たちは試合でてねーからいいよ」

「そうなの?練習にもなるしするよ?」

「ん、ありがとな」





テツの足元に屈んで、マッサージを始める

場所的に、壁にもたれて座ってる大我の目の前

横目で大我を見れば、コクコク首を揺らしてて、寝かけるまえの幼稚園児みたいだ

まぁ当たり前だけど疲れてるし、控え室を出る前に起こせばいっか





「楓、」

「なぁに?」

「僕はどうでしたか?」

「え、」

「さっきキャプテンにはかっこいいって言ってたじゃないですか」

「聞こえてたんだね、なんか恥ずかしいな」

「耳はいいほうですから。…で、どうでしたか?」

「いつも通りかっこよかったよ!」

「…よかったです」

「あり?黒子は日向みたいに照れたり、むせたりしないんだなー」

「小金井先輩、聞こえてたんですか?」

「控え室狭いし聞こえてるって!」

「お前のも聞こえてんぞ、コガ!!」

「うっわ、日向の地獄耳ー!」

「よしコガ、こっち来い」

「ちょ、助けて土田!!!」

「…むせたりはしませんが照れてますよ」

「え、そうは見えないよ」

「それが僕ですから」

「確かにそうだね!」





思わず軽く笑ってたら、急に両肩に重みを感じた

視線を横にずらすと、赤

一瞬わけが分からなかったけど大我が横から抱きつくみたいにして私の肩に頭を乗せながら寝てるってことが分かって解決する

私そこまで肩幅広くないから寝にくそう





「大我、マッサージしにくい」

「おー」

「寝るの?」

「おー」

「その体勢しんどいでしょ」

「おー」

「…大我のばーか」

「おー」

「……はぁ。その体勢じゃ寝違えるし、絶対腰痛くなっちゃうよ?身長差わかってる?」

「安心する」

「そこだけ答えてくれるんだね。控え室出るちょっと前に起こすからね」

「ん、おやすみ」

「おやすみ、お疲れ様、大我」




































なによりもそれが優先

(((火神羨ましすぎんだろ………!!!!!)))

(イグナ…)
(ちょ、テツ!?)




















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