ただ手を伸ばす

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帰ってきたと思ったら、急に作戦を語り出した大我

私はドリンクとかを配りながらそれを聞くけど普通にいい案だと思う





「…火神くんもやっと頭冷えたみたいね!」

「いや俺は最初から……」

「「超ムキになってたよ!!」」

「う、」

「…けど黒子くんと火神くん、2人の連係が大事よ、これ。できる?」

「…なん、とか…」

「「………」」

「きょっ、」





私が頭を叩いて、テツが脇腹にスゴいチョップをする

え、めっちゃいい音しなかった?

てか大我がスゴい声出したんだけど、一体なに言おうとしたんだろう





「テメーら、何いきなり…!!!!?」

「黄瀬くん倒すんでしょう?」
「勝ってくれるんじゃなかったの?」

「……。ったりめーだ!!楓をやるかよ!!」





テツにはさっき以上にいい音のチョップと言う名の攻撃を、私にはいつも通り頭をガシガシ撫でた

あ、テツが悶えてる





「んじゃま、うちのマネージャーやるわけにもいかねーし」

「ちょっと!!絶対賭けが私だったらそんなにやる気出なかったわよね!!?」

「その前に安心しろよ、カントク。まずならねーから」

「早く行ってこい!!!!」





あ、先輩がキレた

今私と違ってスカートだから蹴っちゃダメですよ





「第2Q始めます!!」


「逆襲よろしく!」





第2Qが始まってボールが伊月先輩から大我に回る

当たり前だけど涼くんは大我のマーク

ドライブで上がっていって横にパスしたかと思ったらそこにいたテツがまたそれを大我に返した

さすがの涼くんもそれは考えてなかったみたいで、そのまま大我はシュート

思わず誠凛の皆で立ち上がる


もいっかい大我にボールが回ってテツにパスする

涼くんは大我にボールが回らないようにするけど、テツはそれを見てキャプテンにパスすれば、キャプテンが綺麗な3Pを決めた

これで点差は3点





「黒子っち………!!」

「……黄瀬くんは強いです、僕はおろか火神くんでも歯が立たない。…けど力を合わせれば、2人でなら戦える」

「…………やっぱ黒子っち、変わったッスね、帝光時代にはこんなバスケなかった。…けど、そっちも俺を止められない、そして勝つのは俺ッスよ……!!黒子っちの連係をお返しすんのはできないッスけど、黒子っちが40分フルに保たない以上結局後半ジリ貧になるだけじゃないスか」





次は涼くんにボールが回った

すると作戦通りテツがマークにつく

涼くんとか幸男先輩とか海常のほかのメンバーとか皆驚いてるみたいだ

でも反対に誠凛メンバーは口角上げる





「…まさか夢にも思わなかったス。黒子っちとこんな風に向き合うなんて」

「………僕もです」

「一体どーゆーつもりか知んないスけど、黒子っちに俺を止めるのは無理ッスよ!!!」

「、違うね、止めるんじゃなくて、」

「獲るのよ!!」





それからテツが獲ったボールで先輩がシュートを決める

涼くんが3Pを打とうとすれば大我が止めた

うちが速攻しようと動こうとした時、悔しげに振られた涼くんの手がテツの頭に直撃した

私は無意識にテツの名前を呼びながら走り寄る





「テツ、血が………!!!」

「大丈夫か、黒子??!」

「救急箱持ってきて!」

「大丈夫ですよ、だからそんなに心配しないでくだ…さぃ…………」

「黒子ォー!!!!」





私の頬に手を当て、少し笑ったテツ

立ち上がろうとしたテツが途中で私に倒れてきた

私の肩をテツの血が染めていく


キャプテンがテツを抱き起こしてベンチに寝かせた

福田くんにもらった救急箱を使って止血して頭に包帯を巻いていく





「………黒子くんはもう出せないわ、残りのメンバーでやれることやるしかないでしょ!OFは2年生主体でいこう!まだ第2Qだけど離されるわけにはいかないわ、早いけど"勝負所"よ、日向くん!!
黄瀬くんに返されるから火神くんはOF禁止!DFに専念して。全神経注いで黄瀬くんの得点を少しでも抑えて!」

「そんな…それで大丈夫なんで……すか?!」

「大丈夫だって、ちっとは信じろ!」

「っでも!!」

「大丈夫だっつってんだろダアホ!たまにはちゃんと先輩の言うこと聞けや殺すぞ!」

「!!?」

「…お前も、んな心配そうな顔してんじゃねーよ!黒子は大丈夫だし、お前を海常にもやらねー!だから笑ってろっつーの!!」

「キャプ、テン……?」






大我と同じように荒々しく私の頭を撫でていったキャプテン

……え、いまあの優しいキャプテンが………え?





「楓、気にしないでいいよ」

「あ、伊月先輩……」

「アイツ、クラッチ入ったら本音出る奴だから」

「初耳です」

「ほら、キャプテンの言う通り楓は笑ってないと!」

「!はい!!」





そう言って走っていった先輩たち

大我はこっちを見ていつもみたいに笑った

私がリコ先輩たちの所に走っていこうとすると後ろから腕を引かれて、後ろを見るとテツだった





「テ、ツ……?」

「傍にいてください、楓」

「私?」

「当たり前です。今は傍にいてほしいんです」

「…テツがそれを望むなら」





私がテツの寝ころんでるベンチの空いてるところに座れば、私の膝に頭を乗せてきた


そこから、点差は広がることなく試合は進んでいく

途中キャプテンは二重人格クラッチシューターなこととか伊月先輩はダジャレ好きなこととかいろんなことが発覚した


そして第3Q残り3分

見てても分かるくらいに皆の集中力は切れかけで体力も底を尽きかけ

私が拳を握りしめてると急にテツの手が重なった

それから頬に柔らかい感覚と共にテツの声が耳元で聞こえる





「これでもう元気です、見ててください、楓」

「え?」


「…せめて黒子くんがいてくれたら、」

「おはようございます、…じゃ、行ってきます」

「いやいやいや何言ってんの、ダメ!ケガ人でしょ!?てかフラついてるじゃない!!」

「今行けってカントクが……」

「たらればがもれただけ!」

「じゃ、出ます」

「オイ!!」

「僕が出て戦況を変えられるならお願いします。…それに約束しました、火神くんの影になると、楓は渡さないと」

「テツ……!」

「……ッ分かったわ…!ただしちょっとでも危ないと思ったらすぐ交代します!!」





第2・3Qを丸々引っ込んでたからまた効力が戻ってきたみたいで、同点にまで追いついた

ここで涼くんの雰囲気が変わって、第1Qと同じランガン勝負に

追い抜かされて、追いついてまた同点になった時、残り時間は15秒

幸男先輩がシュートに飛んだけどそれを大我が止めた

それでボールをテツに回して涼くんを抜き去る

テツがゴールに放ったボール

パスミスかと思ったけどそれはアリウーブで、大我と同時に涼くんは跳んだ


残り1秒


涼くんは落ちていってるのに大我は跳んでるまま


試合終了と共にダンクを決めた




「ブザー、ビート………!!」





講堂中に拍手が響いた








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