ただ手を伸ばす

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始まった瞬間、テツと大我がぶっとばして、大我がダンクしたと思ったらゴールが取れるっていう事故が起きた

相手の監督さんの顔はとりあえず笑えるもので、ざまぁみろとか横から聞こえてきたのは気のせいだと決め込む

全面使うことになって移動する途中、幸男先輩がこっちに走ってきた





「さっきの驚くって意味、わっ分かったぜ……」

「テツ、スゴいでしょう?」

「ありゃどっから湧いてくるか、分かんねーな」

「私には見えるんでその感覚が分かりません」

「すっスゴいな。でも、うちのエースも負けちゃいねーよ?てか負ける気なんてさらさらねー、から」

「…だいぶ普通に話してくれるようになりましたね!」

「そ、うか?」

「とっても嬉しいです!」

「楓………」


「ひゃっくてーん!!」

「うきゃっ!」


「せーんぱい、なにしてんスか〜?」

「顔怖ぇーぞ、モデルさんよ」





私が幸男先輩と話してると、首に泣きそうなくらい強い衝撃

ちょっと視線を落とせば、ゴール

いやふざけてるわけじゃないからね?

ホントの話だからね?

後ろを向けば大我とテツ

声的に投げたのは大我だと思う

だってテツに膝かっくんされてるし

てか私は輪投げなのか。100点って輪投げなのか





「大丈夫ですか?怪我してませんか?」

「うっうん、大丈夫…!」

「でもダメですよ、僕ら以外の男子は狼ですなんですから」

「狼……?」

「楓!俺試合出るから見ててね!?」

「いや、涼くん相手チームじゃ…」

「いいッスから!」

「おら、お前のファンが呼んでるぜ?行かなくていいのかよ、モテモテの黄瀬くん?」

「………。…じゃあまた後で、楓!」

「うん!」

「なに普通に返事してんだ!!」

「え、ごめんなさい!!」





ベンチに戻ってちょうど同じくらいに試合が始まった

ちょっと不機嫌そうに手を振る涼くんを幸男先輩が蹴る

その後の真剣な顔がカッコイいな、とか考えてたら突然誠凛の皆がこっち振り向いた





「声、出してたわよ」





……私なんかが調子乗ってごめんなさい


それから涼くんがさっきの大我と同じように片手でダンク

ゴールはギシギシ鳴ってるし、正直大我より強いと思う

あ、幸男先輩にまた蹴られてるし


それからはとりあえずスゴかった

スゴいハイペースの試合

大我が決めて、涼くんがそれをコピーして、以上で返して、それの悪循環





「………リコ先輩、」

「TOね?分かってるわ」





ベンチから立ち上がって申請しに言った先輩

程なくして帰ってきた皆にドリンクとタオルを渡す

河原くんと福田くんも手伝ってくれた

汗がスゴくて、まだ5分くらいしか経ってないのに体力の消耗も極端に激しい

あっちの監督さんはとりあえず怒鳴ってる

遠目でそれ見てたら涼くんと目が合って、手を振られたから振り返したら拳骨された。あ、涼くんも幸男先輩に叩かれてる





「おら、こっち見とけ」

「……最近扱い酷い」

「酷かねーよ」

「…とにかくまず黄瀬くんね」

「火神でも抑えられないなんて……」

「もう1人つけるか?」

「なっ……!ちょっと待ってくれ…ださい!!」


「…………いや、活路はあります、彼には弱点がある」


「!!弱点………?!」

「なんだよ、そんなのあんなら早く……」

「いや、正直弱点て言えるほどじゃないですけど…」

「…それよりも、先輩」

「?どうしたの、楓?」

「テツの影の薄さ……いやミスディレクションの効果が弱まってきてます」

「、はぁ??!」

「ミスディレクションは使いすぎたら慣れられて効果を為さなくなります、マジシャンも心得ている事です。だから40分フルには使えないんです」

「!!そーゆー大事な事は最初に言わんかー!!!てか楓なんて隣にずっと隣にいたでしょ!!!!」

「ぐえっ、いや聞かれなかったんで、」
「すいません、聞かれなかったですから」

「聞かななんもしゃべられんのかおのれらは!!!」

「ちょっ、先輩、ギブ………!!」


「TO終了です!」


「2人シバいて終わっちゃったー!!」

「このままマーク続けさせてくれ…ださい。もうちょいでなんか掴めそうなんス」

「あっちょっ待っ……火神くん!!もう!!…とにかくDFマンツーからゾーンにチェンジ!中固めて黄瀬くん来たらヘルプ早めに!黄瀬阻止最優先!」

「おう!」

「あと黒子くんはちょっとペースダウン、思いきり点差引き離されない程度に!できる?」

「…やってみます」

「ダメ、です、先輩……!」

「え?」





先輩の首締め攻撃から回復して、ちょっと息切れしながら言葉を出す

私がそう言えば、先輩は驚いたみたいに振り向いた





「たしかに涼くんは化け物です。…けどここは名門海常、涼くんだけが飛び抜けてると言ってもほかも化け物揃いです…!!」




 パッッ




「おお一蹴の3P!!」


「……その通りみたいね。ナメてたわ……ッ!」





そこから、テツの存在に慣れてきた海常に、だんだん差は開いていく


そんな中、大我がゴールしようとした時涼くんの手が大我の手に触れて誠凛(ウチ)ボールになる

悔しげな大我に、涼くんが冷めた目で大我に何か言ってるけど聞こえない

けど涼くんが立ち去ろうとした時急に大我が笑い出した

周りの皆は大我を驚いたような目で見る

でもテツだけがそれを真剣に見つめてた


涼くんの言葉とは違って大我の言葉ははっきりと聞こえて、なぜかその言葉はずっしりとくる

話の途中にキョロキョロしだしたかと思えば、テツの頭を掴んで涼くんに見えるようにした

どうやら涼くんの弱点はテツらしい

これには涼くんも驚いてるみたいだ


そんな時第1Q終了の合図

楽しげに大我が笑った







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