ただ手を伸ばす

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私はリコ先輩曰わくマネージャー兼皆の練習相手らしくて、海常から帰ってきてそのまま更衣室に足を運んだ

ジャージに着替えて体育館に向かうと、リコ先輩がもう海常との練習試合について発表し終わった後みたいだった





「今着替えてきました!」

「あ、おかえりなさい、楓!……あ、そうそう!聞いてよ皆!!」





リコ先輩がそう言うと、先輩とか1年生が一斉にリコ先輩を見た

何を言うんだろう…





「あのね、私があっちの監督と話してる間にまた楓が何人か男をオトしたの!」

「!!え?!」

「ほかにも道行く生徒、み〜んな楓を見て、話終わって迎えに行ったらあっちのキャプテンとイケメンに囲まれてたし!あぁもう羨ましいわ!!」

「ちょ、先輩!!そんなこと…!!」


「……練習試合もすることですし、ちょっと海常の皆さんに挨拶してきます」

「俺も行ってきます」

「火神が普通に敬語使った!!?じゃなくて挨拶に鋏はいらねーだろ!!!止まれ赤と水色!!!」

「ご期待に添えませんが、僕は黒です」

「知らんわ!!!てか鋏はどっから出したんだ!!?」

「楓、練習試合の日は休んでください」

「ちょっ、楓がいないとマネージャー業が困るわ!!(だって面白くないじゃない!!)」

「本音がだだ漏れだ、カントク」

「早くぶっ潰してー、なッ!!」

「ダンクしながら話すな!!ガチでこえーよ!!!」


「、楓……………ッ?」


「!!ぁ……」





ビックリした

たくさんの女の子に囲まれて、体育館の入り口に見えたシルエット

背が高くて、太陽に反射してキラキラ輝く黄色の髪

周りを取り囲む女の子たちを押しのけてこちらに走ってきた

そしてそのまま私に抱き付いてきて、突然だった私は足を踏ん張ることもできず倒れそうになる

後ろから女の子たちの叫び声が聞こえた





「楓楓楓楓楓楓楓!!!!!一体今までどこにいたんスか!!!!?俺たちずっと探してたんスよ??!!」

「いた、いよ、涼くんッ………!」

「!!あ、ごめん………」


「海常高校バスケ部、"キセキの世代"の1人、黄瀬涼太!?」

「……黒子っちがいること思い出して挨拶しに来たんス。でもまさか楓がいるなんて思ってなかったッスよ。…黒子っちは楓がいるって知ってたんスか?知ってて俺たちに言わなかったんスか?答えてほしいッス、黒子っち!!!!」

「楓がこの学校にいることを知ったのはつい最近です。…まぁ知ってても教えるつもりは全くありませんでしたけどね」

「!!黒子っち!!!!」

「その話は後にしましょう、先輩たちが困ってますから」

「………はいッス。!!っと!!?」

「たっ大我………!」





涼くんが私の目から視線を外さないで、そのまま私を離した

次の瞬間涼くんの顔面目掛けてバスケットボールが飛んできて、持ち前の反射神経で涼くんはそれを受け止める

ボールが向かってきた方向には、怒ったような、楽しそうな表情をしてる大我がいた





「せっかくの再会中ワリーな、けどせっかく来て挨拶だけもねーだろ。ちょっと相手してくれよイケメン君。……それにちょうどおたくのキャプテンさんたちに用があったんだわ、伝えてくれよ?」

「……森山先輩が騒いでたのって楓だったんスね、なんか納得。……そういや楓に今呼び捨てにされてたッスよね?羨ましいし、……憎ましいッスね」

「ハッ、デルモの黄瀬くんはそんな怖い顔もできんだな!」

「「「「………」」」」

「あ?」

「……火神くん、カッコよかったのに、今ので半減…ていうか全くカッコよくないです。もしかして素で間違えたんですか?」

「…………んなわけあるか。冗談に決まってんじゃねーか」

「あぁ本気だったんですね」

「………」

「…いいッスよ!いいもん見せてくれたお礼と、…楓に俺のバスケをまた見てほしいッスから!!」

「え、わ、私?」

「もちろん!俺は楓に見ててほしいんスよ」

「ぅ、あ…………」

「おら楓、ここは危ないから端っこ寄るぞー」

「ッキャプテン………?」





いきなり話を振られて戸惑う私の肩を抱いて体育館の壁の方に歩いていくキャプテン

当たり前だけどこんなことをキャプテンにされるのは初めてだから照れてしまう





「ありがとう、ございます……!」

「!!いやいいって!」


「(………後でゲーム申し込もうかな)」

「(………この学校の俺のファンに頼んじゃおうかな)」


「!!!!」

「?キャプテン……?」

「な、なんか寒気が……!!」








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