ただ手を伸ばす

□8
1ページ/2ページ






「楓!」

「あ、リコ先輩!」





テツの行動の意味が分かって呆れ半分楽しさ半分でたくさん笑った朝

大我がやっぱりクラスまで乗り込んできて、また怒られた

…最近怒られる回数が多い気がする


そして放課後

私が部活に行こうと教室で用意してると、急に名前を呼ばれて振り向く

すると出入り口の扉の所にニンマリ顔をしたリコ先輩がいた

…あの屋上事件の時みたいに悪い予感しかしない





「私の教室なんかまで来られて、どうしたんですか?」

「これから海常に練習試合申し込みに行くからついて来て!!」

「……なんで私まで?」

「いいから!」

「超理不尽です!!」

「ついて来て、くれないの?」

「お供させてくださいまし!!!」

「じゃあ行きましょ!」





笑顔ってあんなに黒いオーラがでるものだったっけ?




































「ここが海常高校………、」

「じゃあバスケ部探しに行きましょっか」

「あ、はい!」





電車とかを乗り継いで、やっと着いた海常高校

校舎は大きくて、見えるだけでもたくさんの部活が活動してる

体育館も何個かあるみたいだ





「…たしかバスケ部の体育館は、」

「その体育館ってバスケ部専用なんですか?!」

「そうみたいよ」

「スゴいですね……!」

「それだけバスケ部に力を入れてるって事ね。……あの体育館よ!」





リコ先輩が指差す体育館に向かう

その途中なんか指さされたり、ひそひそ話されたりした

……あ、ウィッグとか付けてくるの忘れてたよ


体育館の前には監督らしき男の人とユニフォーム着た先輩?がいた

たぶんキャプテンさんだと思う


私たちを見つけたであろう監督さんが軽く私たちに会釈したから私も慌てて会釈する

ユニフォーム着てる人は私たちを見た瞬間スゴいスピードで目を反らされた

……これも最近多い気がする





「こんにちは!お電話しました、誠凛高校バスケ部カントク、相田リコです!」

「ああ、ヨロシク。バスケ部監督の武内だ。……ちなみにこちらは?」

「!あ、私はマネージャーさせていただいてます、桃井楓です!!」

「マネージャーか。…笠松!」

「!!はい」

「マネージャーさんを案内しておけ。俺は日程などをこちらのカントクさんと話す」

「お、俺ですか……??!」

「分かったな?」

「……ウス」





そう言って校舎に入っていったリコ先輩と相手の監督さん

…とりあえず気まずい

現在進行形で





「……なんかすみません」

「え、は?」

「いや…、練習もあるというのにこんな私の案内なんてさせてしまうような事になってしまって、って意味です」

「いや、あの!それは全然いいんだ…です」

「(大我と同じになってる!!!!!)」

「おっ俺は3年の笠松幸男!キャプテンやらしてもらって…ます」

「私はさっき言った通り、桃井楓です!私は1年なんで敬語なんてやめてくださいよ!」

「……いや、俺、女子が…さ、」

「…もしかして苦手なんですか?」

「!!……おっおぉ」

「なら良かったです!」

「…は?」

「逢って早々嫌われたんじゃなかいかって心配だったんです!それを聞いてちょっと安心しました」

「!…そうか。ちょっと場所変えるぞ、…もも、い」

「!はい!!!」





小さく笑ってくれた笠松先輩に、私もつい笑ってしまった






次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ