ただ手を伸ばす
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部活に行けば、あからさま先輩たちに目を背けられた
リコ先輩だけはずっと笑顔で私を見てたけど、
それから無事に部活が終わって大我と帰ろうとしたとき、正門辺りでケータイを部室に忘れたのに気付く
大我は待ってるって言ってくれたけど、迷惑かけてばっかりだから断った
それでも引かなかったから最終手段で、夕飯無しにするよ、って言ったら渋々帰って行った大我
なんか悪い気もしたけど汗も掻いてるし風邪引かれちゃ困るからね
それからさっき出たばっかりの体育館に向かうと電気が付いてた
消し忘れかなって思ったけど、中からバッシュと床が擦れる音と微かだけど声が聞こえる
恐る恐る入れば、息を切らしたキャプテンがいた
「はっ、はぁ……も…楓……?」
「桃井でも全然いいですよ」
「悪い、あんま女子の事名前で呼ばねーからさ…」
「気にしないでください!」
「てか桃井はなんでここにいんの?帰ったんじゃなかったっけ?」
「ケータイ忘れちゃったんです!……あ、あった!!」
「良かったじゃん」
「キャプテンは自主練習ですか?」
「おぉ。スゴい1年が2人も入ってきたから、よ!!」
「ナイッシュー、です!」
私と話しながら3Pシュートを決めたキャプテン
フォームもとっても綺麗
「相当打ってますね、先輩?」
「…やっぱスゴい奴はなんでも分かるんだな」
「スゴい人じゃなくてもキャプテンが頑張ったのは誰でも分かりますよ!とってもフォーム、綺麗です」
「それはさんきゅ。あの桃井にそう言われるとすんげー嬉しいよ」
「"あの"?」
「俺、女子だけどすんげー桃井に憧れてた。1年なのに部長するぐらい才能あって、ロングも普通のシュートも打てて……。急に桃井がいなくなっちまった時も、俺がバスケから離れた時も、雑誌ん中とかで笑ってる桃井だけは離れなかったんだわ。なんか後輩って、超慣れねー」
「……私はそんな尊敬されるような人間じゃないですよ」
「え?」
「いえ何でもないです!!もし良かったら練習付き合いますよ、私これでもマネージャーですから」
「プレイするマネージャーなんて聞いたことねーよ!!」
「じゃあ私が1号ですね!」
「なんかカッコイいな!?」
「えへへ、ありがとうございます!」
「今俺誉めたわけ?」
そんな感じで練習を始めた私たち
って言っても私はただ見ながらアドバイスしたり、たまにゲームしたり、タオル渡したりしてただけだけど
そんな事してたらいつのまにか時計の長い針と短い針がちょうど90度になってた
「もうこんな時間かよ……。…そろそろ帰るか」
「お疲れさまです!」
「おぉ、付き合ってくれてさんきゅな」
「いえ私が勝手に残ったんだから気にしないでください!」
「送るからちょい待ってろよ、着替えてくる」
「でも先輩の家反対じゃ……」
「いいから!」
「あ、ありがとうございます…!」
部室に走っていった先輩を見送りながらふとケータイに視線を落とす
思わずケータイまで落としそうになった
「着信履歴105件、受信メール312件………?」
急いで見てみると、《大我》の文字がズラァっと
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From;大我
Sb;
本文;
まだか?
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From;大我
Sb;
本文;
迷ったのか?
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From;大我
Sb;
本文;
今どこだよ
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From;大我
Sb;
本文;
腹減ったんだけど
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From;大我
Sb;
本文;
ふざけてんのかオラ
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お、怒ってらっしゃるー!!!!
そこで見るのをやめて宛名だけスクロールしてると、大我の文字の中に違う文字があった
不思議に思いながらメールを開く
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From;テツ
Sb;
本文;
明日少し早く学校に来れますか?
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「どうしたんだろ……」
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To;テツ
Sb;
本文;
いいけど、どうしたの?
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そう返事してから、また受信メール欄をスクロールしていく
「うわー、愛されてんな。てか火神ってこんな奴だったっけ……」
「……うわぁっ!!」
「あ、悪い」
「おおお驚かせないでくださいよ!!てかケータイも勝手に覗かないでください!」
「だから悪いって。てか桃井と火神って一緒に住んでんの?」
「いえ違いますよ、アメリカで知り合って、こっちでも家隣なんです」
「へぇ。ちなみにどこまでいったわけ?」
「は??!」
「え、もしかして最後まで?」
「違います!!!ていうか大我とは付き合ってません!!」
「………え?」
「だから、私と大我は付き合ってないんですって!!!!」
「だってさ、一緒に帰ったり登場も…!!」
「あれが私たちの普通です!!」
「……さすがアメリカ」
「それより先輩!!私早く帰らないと死にます、殺されます、死ねます!!!じゃあお先に帰りますんで!!さようなら、また明日!!!」
「あっ、おい!!じゃあな、っ楓!!!」
「!!はい!」
Bダッシュ!!(……てめ、ホントふざけてんの?)
(滅相もございません!!!)