ただ手を伸ばす

□2
2ページ/2ページ






「体育委員?」

「うん、勝手に決められてたんだ」

「どうせ寝てたんだろ」

「…えへへ。だから終わったら部活終わるまで私の教室で待ってるよ!」

「いやいいよ、先帰っとけ。何時になるか分かんねーし」

「え、そうなの…?」

「おぉ。そういや楓は部活入んないのか?」

「帰宅部という名の部活に仮入部中です!」

「アホか。じゃあそろそろ部活行くわ!頑張れよ体育委員サン」

「大我も初部活頑張ってねー!」





そう大我と話してた1時間ちょっと前

現在私は絶賛迷子中です

高1にもなって学校からの帰り道に迷うとかガチ泣きしちゃいそう。……ぐすん

やっぱり大我待ってれば良かった

自分がふざけてる程方向音痴を綺麗さっぱり忘れてたよ

大我に電話しても部活中だろうから邪魔だろうしなぁ





「どうしたの、そこの君?」

「!!へ、あ、」

「あはは、いきなりごめん!」





急に後ろから声をかけられ、思わず飛び上がれば、笑いながら私の前へと移動してきたツリ目黒髪男の子

私と同学年か先輩くらい?





「こんな所でどうしたわけ?」

「いや、ちょっと迷子に……。最近越してきたばかりで…」

「あぁそういうこと!送ってくよ」

「いっいやいいですよ…!ご迷惑ですし…!!」

「可愛い子助けるのに迷惑とかないから!」

「ゃ……」

「あ、照れてる?」

「てっ照れてませんよ…!!」

「はは!本気で迷惑なんて思ってないから遠慮しないで!」

「…じゃあよろしくお願いします」

「任せてよ!」





それから高尾くん(お互い自己紹介した)に場所を説明すると、私の家は正反対にあるみたい

おかげで高尾くんには爆笑された

いや私だって好きにこうなってるわけじゃないからね?

話を聞いてると、やっぱり同学年で高尾くんもバスケ部らしい

いつも相方と帰ってるんだけど、今日は委員会があったから1人で帰ってたみたい





「正反対って………!!!」

「…笑いすぎですよ」

「ごめんごめん!そういやその制服、桃井さんって誠凛?ちなみに俺は秀徳ね」

「はいそうです!後名字で呼ばれるのは好きじゃないんで楓でいいですよ」

「あ、了解。てか堅苦しいから敬語なんていーよ!あと俺だけ下の名前だったらおかしいから楓ちゃんも下の名前で呼んでくれないかな?」

「和、くん……?」

「…やっぱり楓ちゃん可愛いよね」

「は?」

「そろそろこの辺じゃない?」

「……あ!あれだよ!!」

「良かった!」

「和くん、どうもありがとう!!」

「いいって!」

「……あの、もしよかったら今度お礼したいからメルアド、教えてもらってもいいかな……?」

「反対に俺が訊こうとしてたんだよね!もちろんいいよ、つかそれがお礼でも全然大丈夫なんだけど」

「いや…!じゃあ赤外線で、」

「おー」





ケータイをくっつければ、ピロロンという可愛い効果音

アドレス帳に急いで登録する





「…やっぱり真ちゃんスゴいわ、今日はさそり座の恋愛運MAXって言ってたし」

「恋愛運?」

「こっちの話!じゃあまた連絡するよ、じゃあ!」

「さよーなら!」





和くんが見えなくなるまで見送った後、我が家へと帰る

他校だけど、高校に入って新しい友達が早速できました

















思わず笑顔

(あ?!迷った?!)
(うん迷った)
(家から学校まで5分かかんねーだぞ?!)
(…うん迷った)




前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ