ただ手を伸ばす

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「うわー、スゴい人…」

「バスケ部のブースどこだ?」

「こんなに人いたら分かんないよ」





誠凛高校

それが私たちの通う高校


現在私たちは正門前に突っ立ってる

正門から校舎に続く道のりは部活勧誘の人と私たちと同じ新入生でごった返し状態

隣の大我も明らか眉間に皺寄ってる





「探すか。ちゃんと俺の手持ってろよ?」

「はーい」





私は本気の方向音痴

それを知ってる大我はいつも私の手を握ってくれる

子供体温の大我の手はあったかい





「…あ、あれ!あの新入生募集看板、バスケ部のだよ!」

「ナイス、楓。……おーい、そこのバスケ部の看板持ってる先ぱーい!」

「!!え、あ、俺か!!」

「入部希望なんだけどです」

「(やっぱり敬語おかしい!!!)」

「あ、じゃあブース連れて行くから…!!」





なんか第一印象《猫》の先輩はビクビクしながら歩き出した

でも人が多いからか、それとも単に気が弱いのかは分からないけどなかなか進まない

それにイライラしたのか、大我はその先輩の首根っこを掴んで道を聞きながら歩き出した

…行動力があるというかなんというか…





「!!わっ、」

「……危ねーな。もうちょいしっかりしろ」

「しっしてるよ!」





人に押されて倒れそうになった瞬間、大我が肩を抱くみたいにして助けてくれる

そして『こけんなよ』って呟いた後、そのまま私を胸に押し付ける感じでバスケ部ブースに向かった

やっぱりこれを自然にしてくれる大我は優しい





「来ました、新入生……」

「バスケ部ってここか?」

「わあっ!!??……う、うん」





やっと見つけたらしく、ブースにいる声を掛けた大我

ブースに座ってたのは可愛い先輩

あれ、意外

大我に掴まれてた先輩は可哀想な顔になってた

…なんかごめんなさい

それから大我はその可愛い先輩の前に座って、いろいろ説明聞いてたんだけど、途中でめんどくなったみたいで仮入部届けをそっこー書いてた

それを私は後ろから見てたら邪魔だって叩かれた

その用紙をもらった可愛い先輩はなんか驚いてるみたい

たぶん中学がアメリカだからかな?





「んじゃ」

「あれ?志望動機はなし?」

「……別にねーよ。どーせ日本のバスケなんてどこも一緒だろ。…行くぞ、楓」

「あ、うん…!」


「待って」


「え、?」





私が先を行く大我を追いかけようとしたら、腕を掴まれた

振り返れば可愛い先輩





「…私、見ただけでだいたい身体のことは分かるわ。服の上からでも分かる、アナタバスケやってたわね?」

「!!」

「それもかじったぐらいじゃないわ、どれも女子高生の最高値なんて優に越えてる。アナタ何者?」

「……私はただの凡人ですよ」

「ねぇ、マネージャーにでもなってみない?アナタなら「悪ィッスけど、俺たち急ぐんで」ちょ!!」





次の瞬間前からスゴい力で引かれ、倒れ込みそうになる

少し視線を上に向ければ恐い顔してる大我

大我は先輩に被せるようにそう言うと、スタスタと私の腕を持ったまま歩いてく





「…お前ホント何してんだよ?」

「捕まった」

「んで?」

「バスケしてたことすぐ気付かれたよ」

「………ホントにしなくていいのかよ?」

「…大我、」

「いやなんでもねーよ!早く教室行くぞ!」

「クラス違うからね?」





やっぱり大我はバカだ








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