あはれとも、

□漆幕
1ページ/2ページ







 神威SIDE





それから俺は風榎をただ探した

行く星々でも俺直々に風榎を探して回る

けど見つからない


気がつけば2年の月日が経ってた

思い浮かべるのは風榎のことばっかり

離れてから、改めて風榎がどれだけ俺の心を占めてたのか実感

2年も経ってたらやっぱり綺麗になってるのかな

どう変わったんだろう

闘いの途中も頭に浮かぶのは風榎


前に阿伏兎にこれを言ったら『団長も末期だよ、すっとこどっこい』って呆れながら言われた

なんかイライラしたけど、ホントのことだから言い返せない


大好き大好き愛してる

こんな俺が女1人に渇望するなんて、可笑しな話だ

闘いを求めて、血を浴びて、それでも満たされなかった俺

けれど風榎とは、話して視界に入れるだけでも満たされる俺がいた

我ながら自嘲的な笑いしかでてこない



真っ暗闇の中に風榎がいる

思わず手を伸ばすけど、どれだけ伸ばしても届かなくて、

それどころか離れていく風榎

今まであちらを向いてた風榎が急にこっちに振り向いた

風榎は、少し目を見開いてるけれどそれでも俺を真っすぐ見つめてる

あの時と同じ



ここで目を覚ます

身体中汗がびっしょり

闘いでもこんなに汗をかくなんてことはない

俺のあの時の馬鹿な考えを後悔させるように夢に出る

またあの時みたいに俺の頬に涙が伝って、俺のベッドを濡らした

無意識って怖いな




 コンコンッ




『団長、地球に着いたぜ』



「…今行くヨ」





少し腫れた目を隠すために包帯を巻いた









次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ