あはれとも、

□参幕
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「あ、風榎姉!!」

「・・・また来なんしたか、晴太」





私がいつも通り見回りをしてると急に呼び止める声

振り返ればここ吉原ではなかなか見ない子供がいた

名前は晴太

日輪に逢うためにお金を預けに来てる無垢な少年

なんだか眩しくて、大事なもののために動く晴太を応援したくなって声をかけたのが最初

話しかけた当初は、晴太もびくびくとしていたけれど、日を追う事にあちらから声をかけてくれるようになった

時折一緒に茶を飲んだり、吉原の出口まで送ったり、子供だからといって晴太に絡むごろつきの相手にしたことも

私が妹として姐さん方に可愛がってもらっているから、私もしてみたくなったのかもしれない

そんな晴太からのお金を番頭が使っていると小耳に挟んだ時はもちろん半殺しにしたし、その使った分と利子は自腹で晴太の帳簿に付けておくように命じた

それから、前々から店のお金にも手を付けてたそいつを処分して、新しい番頭を用意した

変わった番頭に、不思議そうに首を傾げていた晴太の頭を撫でる

晴太にはまだ醜い私を見てほしくなかった


ふと今日の晴太を見れば、いつもは言っちゃ悪いが小汚い格好をしてるのに今日はなんだか清潔感があった

はて、新しい奉公先でも決まったんだろうか





「今日は綺麗な格好でござりんすね」

「うん!すっげーいい人たちが雇ってくれたんだ!」

「ほう、それはようざんした。毎日来なんしたのに、最近姿を見んかったから心配でありんした。それならあちきも安心ざんす」

「風榎姉・・・!ありがとう!!」

「ほんになら、此処に住まわしてやりたかっでありんすが、晴太は上の世界で生きなんし。はよ日輪様に会って、ここには来なすんな」

「その時は風榎姉も一緒に行くからね!!」

「ふふ、こはばからしゅうこと言いなすんな」



「お、こんな所にいたのか、晴太」



「銀さん!!!」

「銀さん?」





晴太が駆け寄る方を見れば、死んだような眼をした男がいた

銀髪の天パ

帯刀しているところを見ると、侍なのかな

その死んだ目を晴太からこちらに移す

そうすれば、少し目を見開いて晴太の耳元に顔を寄せてこそこそと話しだした

うーん、こそこその割に私に丸聞こえだ





「!!おっおい晴太!そっちの可愛子ちゃん誰だよ!!?」

「風榎姉は渡さねーぞ!?」

「え、晴太の姉ちゃん?ちょっ、紹介しろよ!!」

「風榎姉は姉ちゃんじゃねー!」

「どっちだよ!!?」


「えらくこそぐったいことおっせえすね。さすがのあちきも照れるでありんす」

「え、反応も可愛すぎじゃね?これはすみません!僕晴太くんの保護者の坂田銀時です!気軽に『銀さん』とでも呼んでください!あのもしよかったらこの後お茶でも・・・」

「この吉原でお茶でござりんすか?」

「!そういやここ吉原だったァァァアア!!!!・・・・・・ん、待てよ?ってことはお嬢さんも、」

「あちきは遊女じゃありんせん」

「!そうよね!!ちょっとなんかのアニメのちょっと過激なコスプレしてる可愛子ちゃんだよね!!!」

「あちきは死神太夫率いる、吉原自警団"百華"が副頭、風榎でありんす」

「いや、こんなコスプレしてる人やばくない、銀さん?」

「・・・ヒッ、ヒエェェェエエ!!!!!」





本当にこんなのが保護者で大丈夫なのかな、晴太








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