あはれとも、
□序説
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「風榎、なんで闘わないの?」
私は護るために闘いたい
獣にはなりたくない
「護りたいもの?」
今は分かんないけどいつかは見つけるよ
「ふーん、分かんないなあ」
私以外に分かってもらおうなんて考えてない
「闘えない奴はうちにいらないよ」
嗚呼よかった
このまま獣に成り果てるんだったらいっそ殺して
「お前は…………、脱団だ」
なんで殺してくれないの?
何人もそう言って殺してきたじゃないか
「おい、風榎。いいのかァ?お前、ホントは………」
そんなことも分かんない餓鬼だっただけ
だから
サヨウナラ
「…お主そんなところで何をしている?」
なにも?
ただ雨が好きなだけ
「そう言っとる癖に傘はさすのか」
見るのは好きだけど打たれるのは好きじゃないんだ
「…わっちと来るか?どうせ行く宛もないんでありんしょ?」
私なんていてもただの役立たずだよ
「そんなこと誰が決めた。…ほら、手を取りなんし」
兎と三日月(手を握った瞬間から)
(私はアナタの下僕)