novel(長編)

□〜序章〜 それぞれの想い
1ページ/6ページ


『若松孝輔』 〜喜びと〜

WCで俺達、桐皇は負けた。
炎のような髪と瞳をもった紅い奴と対照的な、いかにも薄いですって感じでそれでも強い芯をもった水色に…

負けたのは悔しい。だけどそれで得られたものもある。

青峰が変わった。
見掛けとかそんなんじゃなくて、練習にも遅刻とか週1間隔で来ないけど、人一倍頑張ってる感がひしひしと伝わってくる。

今吉主将に次期主将として任命された俺にはとても嬉しいことだった。
ただ、少し気になる点が3つ。

1つ目は、青峰の俺への態度がおかしい。つかおかしすぎ。
前まで俺のことなんて眼中になかったクセして、今は若松さん若松さんと、こいつのほうがやかましい。
練習中じっと睨んできたり、シュートするたびこっちをじっと見てフイと視線をそらしたり、おまえは何がしたいんだこの野郎。
…後で問い詰めてやる。

2つ目は、とある二人の態度だ。
その二人とは、後輩の桜井と尊敬する諏佐さんだ。
いや、俺に対してはいつも通りなんだけど、青峰に対して何か、刺々しい感じだ。
桜井はこいつこんな目もできるのかと言いたいぐらいに青峰をギロリと睨んだり、諏佐さんは引退しても、こっち来て俺と青峰を交互に見たり、人間観察でも始めたんだろうか。

3つ目は、恥ずかしい話、俺のことだ。
実はというと、何というか反射的に青峰が触れてきたりすると防御態勢をとってしまう。
部室で二人きりになると、冷汗が止まらない。
一体何だってんだろうか、俺の体は。

喜ばしいのと裏腹に、俺は何かを感じてる。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ