novel

□カゲロウ パロ
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これで何度目かと緑間は目を覚ます。
あの後、歩道橋を渡っても、転落したり、別の道を通っても通り魔に襲われたりと…
何をしても結局高尾は死んでしまった。
何度、世界が眩んでも陽炎が嗤って奪い去る。
繰り返し、繰り返し。 繰り返し続けてもう、何十年になる?
そう、こんなよくある話の結末なんてもう気がついていた。何年も前に。

 …−ただ二人で生きたかったから選べなかった。それだけだー…

繰り返した夏の日の向こう


高尾の体を押しのけて、道路に飛び込んだ。
一瞬の恐怖、だが高尾助かるならなんだって言いと思い、
瞬間トラックにぶち当たる。

「緑間ァっ!!」

高尾の絶叫が耳に響く。
真剣なときには、「緑間」と呼ぶのだったなとのんきに思考をめぐらし、あたりを睨む。
そして見つけた。 『陽炎』を。

血飛沫が舞う中、高尾の鋭い瞳と軋んでゆく体がスローモーションのように乱反射した。

文句ありげに眉間に皺を寄せた陽炎に





   「ざまぁみるのだよ」





と嗤ったら、実によくある夏の日のこと、
そんな何かが此処で終わった。

























目を覚ました8月14日のある部屋のベッドの上鋭い瞳から涙を流す青年 −高尾和成ーは、 


  「また駄目だったよ」

と、一人猫を抱きかかえてた。



そのとき猫が嗤ったのを気付くことは出来なかった。






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