BOOK 薄桜鬼/K
□この恋、奇跡
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庭にはわたしの他には誰も居ず、そっと近くにあった大きめな岩に腰掛ける
「…はぁ」
嫌いだったのに、最悪の言葉をアイツは口にしたのに
それでも、風間千景の声と姿とが頭から離れない
…たぶん、あまりにも第一印象が強烈だったからだよね?
うん、そうだよ!!
なんて一人ごとを呟いていたら後ろに誰かが居たなんて気が付かなかった
「なつきさん。」
突然声を掛けられ、わたしはもの凄い勢いで振り向いた
そして、そこにいたのは…天霧九寿
「あ、天霧さんか…」
少しホッとしながら微笑む
彼も立場はわたしなんかよりもっともっと上で、純血で…
でも、彼は血筋に関係なく優しく接してくれた
だから、少し前から会えば話すような関係になっている
「こんなところでどうされたのですか?」
わたしの隣に立って
寒いでしょう?と天霧さんは羽織をわたしの肩にかけてくれた
「特に何でもないですよ。もうすぐ中に戻りますので…」
わたしがそう言うと天霧さんは
「そうですか。あまり長居はしないでください」
とだけ呟いて宴へと戻っていった
さすがに、天霧さんに風間千景を見ていると腹が立つ、なんて言えないからね…