BOOK 薄桜鬼/K

□この恋、奇跡
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貴方と出会ったのは5年前

西国に住むわたしたち家族は新しい頭領を迎 えるために宴の準備をしていた


人間と鬼の子

それがわたしの身分

わたしとは違う純血の鬼の子である風間千景 とはどういう人物なのか、たった半分の血で 何が違うのか
自分の母親である人間を嫌い、純血だという だけでもてはやされる彼を見たことがないが 、正直、わたしは嫌いだった


だから、その日も嫌々ながら父親と他の鬼たちと準備をしていた。風間家の者を迎い入れる準備が整うと、ゆっくりと襖が開けられる

それに合わせてわたしたち女鬼は両脇に列を作り、膝を折って頭を下げた
風間様が通った後からは顔を上げた女鬼たちの見とれるようなため息ばかりが聞こえた

わたしは、みんなを釘づけにするその容姿が気になって、ちらりと目を風間様に向けた




美しい

外見はその一言だった

あんなに毛嫌いしていたはずなのに、彼を見 た瞬間にそんな感情は一切消えた


純血と半血の何が違うのか

多分、すべてが違う

顔も身のこなしもオーラも何もかもがわたし たち下の鬼を惹きつけた


「あぁ…美しい……」

「風間様…」

「あの方が新しい頭領…」


あちこちからそんな言葉がため息とともに聞 こえてきた

しばらくぼけっと風間様を見ていたわたしだったが、ふと気付くと風間様はもう目の前に居て、わたしは慌てて目線を下げた


「ほぅ…これはいい女を揃えたものだ……だ が、所詮は半血か」


これがわたしの耳に届いた風間千景の初めて のセリフだった
最後の言葉は小さく、周りのみんなには聞こえてなかったのか、特に反応も変えず騒ぎ続ける

その反面、最初こそ美しい外見にはっとさせられたが、いかにも半血を、わたしを見下したようなセリフに苛立ちが治まらず、頭を冷やすためにもひっそりと宴の席をはずした







 
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