BOOK 薄桜鬼/K

□想いは同じなのに…
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「なつき、どうしたのかなー?なんか元気なくね?」

翌朝、平助が掃除をしているなつきちゃんを見て呟いた

「そう?僕はいつも通りだと思うけど…」

僕はとぼけた振りをして立ち上がる

いつも通りなんて嘘だ
どこからどう見ても落ち込んでいる

「あっ、ちょ…総司!!」

後ろで平助が僕を呼ぶ声がするけど、無視して自室へと戻る


「ケホッケホッ……ゴホッ」

部屋に戻った瞬間、咳き込んで倒れるように布団の上に横たわる

新選組の刀になるどろこか好きな子1人を守る盾にもなれないなんてね
ほんとに嫌になるよ


そのまま布団に入り、目を瞑って僕は眠りについた








「沖田さんっ」

僕を呼ぶ声がして目を開けると目の前にはなつきちゃんがいた

「なつきちゃん、どうしたの?」

「もうご飯の時間ですよ。」

にっこりと笑いながら持ってきた夕食を並べていくなつきちゃん

もう、そんな時間なのか…

外を見ると辺りは赤く夕日に染まっていた

「はい、沖田さん」

朝の落ち込みはなく、元気に笑っているなつきちゃん

良かった
ホッと息をつき、夕食を食べようとしたとき


「ゴホッ…ゴホッゴホッ……ゴホッ」

また咳が出た
しかも中々止まらず、苦しい……

「沖田さんっ!!沖田さんっ!!」


段々と意識も遠のき、薄れ行く意識の中で僕が見たのは、今にも泣き出しそうななつきちゃんの顔

やっぱり、僕じゃ彼女を笑顔には出来ないのかな


そんなことを思いながら意識を手放した



 
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