BOOK 黒子のバスケ/ハイキュー!!
□見てました。
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「なつきー!!今日も及川さん見に行くでしょ!?」
そう言うと、わたしの親友は「早く、早く!!」と腕を掴んで体育館まで引っ張っていく
最初はミーハーな親友がここのバレー部の主将である及川徹を見に行きたいと言ったときに、とりあえずついて行ってただけだった。
正直、及川さんを見てもなんでこんなにファンがいるのかわからなかった。
だって、顔はいいかもだけど軽いじゃん。絶対。
それよりは横にいる岩泉さん…?だっけ、の方がカッコいいと思うけど。
そう思ったのがきっかけだった。
それからはいつもいつも及川さんと比べるように岩泉さんを見ていた
たまに目が合うと嬉しくなるようになった
そのころからかな。
わたしが岩泉さんを好きになったと自覚し始めたのは。
「岩ちゃんどうしたの?女の子いるからって気合入れなくても大丈夫だよ?誰もいわちゃんのこと見てないから♪」
からかっているような口調で及川さんは岩泉さんにそう言う。
だからいつも、わたしは「そんなことないですよ。」と及川さんに心の中で返して、しっかりと岩泉さんを見つめる。
そんなある日、友達が及川さんに告白すると言ってきた。
「だからさ、体育館までついて来て!!お願い!!」
一人で会いに行く勇気はないからせめて体育館までついて来てほしいというのだ。
わたしは岩泉さんを見たかったのもあるし、一応了承した。
放課後になって部活前に友達と体育館へ行くと岩泉さんと及川さんは一緒に居た。
「お、及川さん!!あの……ちょっといいですか?」
友人は緊張でちょっと上ずった声を出して及川さんに話しかける
「ん?何々〜?」
笑顔で振り向いた及川さんに友人は赤面し、緊張しながら体育館裏まで来てほしいことを伝えた。
及川さんはと言うと「OKー、岩ちゃんちょっと待っててね♪」なんて言い残して2人で消えた。
友達も及川さんも居なくなったことで、わたしと岩泉さんが取り残された。
なんとなく2人して体育館の壁に寄りかかる
・・・・・・。
どうしよう…!!
横に岩泉さんが居るというだけで心拍数が一気に上がっていって、まともに顔が見れないからと俯き気味になる。
「名前、聞いていいか?」
少しの静寂の後に岩泉さんがそう聞いてきた
「……篠宮なつきです。」
緊張のあまり、少しそっけなかったかなと悔いに残る返事をしてしまった
「なつきか…。お前もアイツに告白すんの?」
「え?」
まさかの一言に否定よりも先に驚きの声が出て、パッと岩泉さんの方を向く。
「だって、いつもあの子と一緒に及川見てんだろ」
岩泉さんは変わらず前を向いたままそう言った。
「え、あ…違います……。わたしは岩泉さんを………。」
俯いて声を小さくしながら呟いた。
多分聞こえてなかったと思う。というか、聞こえてないことを祈ってチラリと横を見上げる。
けれど、祈りは通じなかったようで驚いた顔をした岩泉さんがわたしを見つめていた。
目が合うと、岩泉さんは少しはにかんで「ありがとな」と言ってわたしの頭に手を置いた。
「その……これからも応援してくれんのか?」
そう聞いた岩泉さんに、わたしは黙って首を縦に動かす。
「すっげぇ嬉しい。俺、最初練習で目が合った時からすごく気になってたんだ。けど、てっきり及川のアレかと思ってたから……。」
そう言って笑う岩泉さんに「違いますよ。」と今度ははっきり伝えて、少し見上げるようにして目を合わせる。
「じゃあ、これ言っても大丈夫なんだよな?」
わたしに問いかけるように言うも、返事も反応も待たずに、岩泉さんは次の言葉を発する。
「俺と付き合ってくれ。」
放たれた言葉に嬉しさがどんどんと溢れていき、わたしはたくさん首を縦に振った後、
「……はい」
と答えて、笑った。