BOOK 黒子のバスケ/ハイキュー!!

□もう一回
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衝撃的な事実はいとも簡単に僕の耳に入ってきた



「赤葦ー、黒尾が結婚するってー!!俺らもしようぜー!!」

「日本では俺らは結婚できませんよ。」
なんて赤葦さんはお酒が入ってべったりくっつこうとする木兎さんを剥がしながら言葉を返す。

今日は久しぶりに赤葦さんと木兎さんと一緒に飲みに来ていた。
2人にはバレーの合宿などでお世話になったあとも僕が東京の大学に受かり面倒をみてもらっていた。
だから、卒業した後もたまにこうやって一緒にお酒を飲んだりしている。

…黒尾さんは、僕が大学2年の冬に海外へと移った。それからはFaceb-―kやTwi-―erとかのSNSで近況を確認はしていたものの、ほとんど連絡は取ってなかった。


そんなとき、木兎さんから告げられた黒尾さんの結婚。

「え、黒尾さん結婚するんですか?相手は?」

「え?ツッキー知らないの!?なんか向うで出会ったって言ってた日本人の女だって。」

赤葦さんも知っていたらしく、木兎さんの隣で軽く頷く。
別に知っていたかったとかそう言うことは思わない。きっと黒尾さんも僕には言い辛かったんだと思うし。


「そっかー、ツッキー知らなかったのか。どうよ、昔の恋人が結婚するってのは。」


そう言った木兎さんに向かって赤葦さんが「ちょっと、木兎さん飲みすぎです。」と言って軽く僕に謝る。



高校時代から黒尾さんが海外に行く大学2年まで僕と黒尾さんは付き合っていた。
赤葦さんと木兎さんもその頃…より少し前から付き合い始めて今に至る。

僕と黒尾さんの付き合いは決して悪くはなかった、とは思うけど、なぜか黒尾さんに別れを切り出された。
正直、今も理由は分からない。
けれど、僕も何のプライドなのか「分かりました。」と涙一つ見せずに言って別れた。
そして、その直後、黒尾さんは飛び立った。

遠距離恋愛を2年、同棲を2年。
男同士の恋愛にしてはもった方なのか、それとも短かったのか。
それでも、別れた後に振り返ればあの時が一番楽しかったのは明らかで、別れた直後は荒れてかなり赤葦さんと木兎さんには迷惑をかけたと思う。




「じゃあさ、もしかしてツッキー、黒尾がこっちに帰ってくることも知らない?」

「……知りません。」

「こっちで結婚式挙げるんだってさ。来週あたりに帰ってくるらしいから4人で飲もうぜ。」

「ちょっと、木兎さん!!」


どんどん話を進めていく木兎さんに赤葦さんがストップを入れるが、僕は次々と知らなかった事実を突きつけられ、頭がパンクしそうだった。
けれど、やはり何かのプライドが邪魔をする。





「いいですよ。飲みましょう。」













そして、木兎さんの言った通り、黒尾さんは翌週の木曜日に戻ってきた。
とは言っても、やはり黒尾さんからの連絡があったわけではなく、知ったのはSNSのタイムラインを見て、だったけど。 
そこには結婚相手であろう眼鏡を掛けた美人な女の人との写真があった。


それを見て、木兎さんの言っていたことは本当なんだ、と胸が痛んだ。




僕はやっぱり黒尾さんを忘れられていない。

そんなことを自覚してしまうも、来週の金曜日に設定された飲み会に向けて僕は一週間を悶々とした気持ちで過ごした。













 
 

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