♀×ルル

□恋華狂い咲き
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薫L

(王国パロ、魔王魔女設定)












「早く私だけのものになって」



……私をこんなにも狂わせる――



魔女、L.L.



「でないと私、貴方を壊してしまいそう」



飢えた国民も、思い通りにゆかない政治も、全てを放り出して貴方に夢中になった



「薫…ならば、折り入って頼みがある」



貴方を私だけのものにする為ならなんだってする



「私の願いをひとつだけ叶えてくれ」



「L.L.の願い?いいわよ。貴方が望む願いとは何…?」



美しき魔女、L.L.の口から紡がれた言葉



それは…



「私の願い……それは死ぬことだ」



「死ぬこと?」



「そうだ」



「どうして?貴方ほどの美貌を持つ人が…」



「私は愛されたかった」



薫は黙って運命に呪われた魔女の話を聞く



「だが、皆に愛されるうちにどれが本物の愛なのか、わからなくなってしまった…」



「うん」



「唯一信じられたのは、奴隷だった私を死の淵から拾ってくれた、教会のシスターだけだった」



「シスターだけは貴方を裏切ったりしなかったのね」



薫は重苦しい表情で頷(うなず)



「だと思っていた」



「え?」と、問いかけてくる薫の瞳に応(こた)え、L.L.はもの悲しい思いで呟いた



「シスターは私に消えることのない呪いをかけた。結局は、私を利用したに過ぎなかった…」



「呪いとは何のこと?」



「その呪いの名を、人はギアスと呼ぶ」



不老不死



人類が数多から追い求め、ああなりたい、こうしたいと、願い続けた夢



夢は欲望



その結果は善とも、悪ともなる



人類は結局、いつも同じことを繰り返しているに過ぎない



――L.L.の胸を虚(むな)しい思いがよぎる



「これでわかっただろう…私が死を望む理由が」



L.L.は溜め息混じりに呟く



「よく話してくれたわね。ありがとう」



「わかったらさっさと私を死なせろ。永遠に続く呪いから私を解き放て」



「わかった、私が連れて行ってあげるわ。安住の地へ――――‥」



「正気か?お前も死ぬことになるんだぞ」



「構わないわ」



「風変わりな魔王だ」



「おいで、L.L.。私だけの魔女」



何も考える必要はない



ここがどこか、自分が何者か、すべて忘れ楽になるといい‥‥



そしてずっとこの小さな箱庭に留まるといい



闘いも痛みも苦しみもない場所(ところ)に‥‥







さあ、子供たちよ



楽園へようこそ。もう君達は苦しむことなどない、飢えることもないのだ。



ここは楽園、君達の夢の国。



あの歓迎の鐘の音を。人々の喜びを。



君達はもう死ぬことはないのだ。







「素晴らしいでしょう?L.L.」



ここにはすべての幸せがある



美しいもの



豊かな生活



美味しい食べ物



楽しい玩具(おもちゃ)



もう何も頑張る必要はないのよ‥‥?



薫は寝そべってL.L.の背中をさする



「眠いでしょう?」



よしよし、と小さな子供を寝つかせるかの様に、子供に還ったL.L.の艶やかな黒髪を優しく撫でる



「もうお眠り‥‥L.L.」



闘いも痛みも苦しみも忘れ



生きることも忘れてしまうといい――







恋華狂い咲き



(神に反旗を翻す)




























素敵お題を無駄にはしたくなかったので、ここで使わせて頂きました

いつもお題サイト様にはお世話になっています

おかげで私の妄想が触発を受け、納得のいく作品を仕上げられます!

まだまだ未熟な文章を、貴重な時間を割いて読んで下さる皆様にも、最大限の感謝を送りたいと思います

ありがとうございますッ!(*´∀`)



お題拝借、揺らぎ・闇に溶けた黒猫様


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