スザルルSS
□堕ちる螺旋の夢を視よう
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※狂愛じみた描写有り
混濁(こんだく)した世界に生まれ堕ち、悲しき業を背負った皇子様がいました
皇子様は妹と母以外になかなか心を開けません
それでも皇子様は日常は平凡で幸せなものでした
そんな幸せの絶頂期に、皇子様の全てを打ち砕く事件は起こってしまったのです
大好きだった母が目の前で殺され、妹は目と足を失いました
無力な皇子様は何も出来ず喚(わめ)くことしか出来ませんでした
皇子様とその妹は皇位を廃嫡され、人身御供として日本へ送られました
父に捨て駒にされたと思い込んだ皇子様は、その時から頑(かたく)なに心を閉ざしてしまい、誰も信じられなくなってしまったのです
そこで運命とも言える最悪で、後に最高となる出会いが皇子様を待ち構えていました
その人物の名は枢木スザク
溺愛してやまない妹以外の人物で
皇子様が生涯でただ一人、信じられた人でした
「スザク…」
後退(あとずさ)ろうとしたルルーシュの片手を掴み地面へと押し倒す
「ルルーシュ」
骨が軋(きし)むほどの圧迫感に余裕を見せていたルルーシュも、神経を真っ二つに引き裂かれたような鈍痛に耐え切れず、眉を顰(しか)め唸(うな)る
「君は余りにも多くの罪を犯してしまった」
気づくとスザクの瞳(め)は、深い諦念と冷たさを秘めている
妹の望む優しい世界の為に多くの血を流し、傷つけてしまった
それが君の罪
「だけど、それは僕も同じだ」
罪人とはいえ、実の父をこの手で殺(あや)めてしまった
僕達はそれ相応の咎を受けなければならない
君と僕が偽善に満ちた人間である限り
罪と罰は表裏一体なんだ
「堕ちよう……ルルーシュ」
夢が夢として夢の理を投げ捨てると言うなら、ぼくとしてぼくを全うしようじゃないか
裏切りには夢を
消えてしまえる君に罰を
藻掻くような愛を
決して癒えぬ心を
「枢木スザクが命じる」
アヴァロン内に現れたV.V.と契約し、ギアスの力を得たスザクの左目にある鳥の紋章が赤く光った
「ルルーシュ・ランペルージ。今から君の意識を喪失させる」
君が無慈悲にも夢としての役割を放棄しようと言うならば、僕は僕としての言葉を嘆こうと思う
「そして俺とひとつになれ」
さあ、出来るのならば沈んでおいで
悲しみの呟きと情動の果てを見せてあげよう
堕ちる螺旋の夢を視よう
(親愛なる濁りなき世界へ。)
お題拝借、闇に溶けた黒猫・9円ラフォーレ様