スザルルSS

□黒い衝動
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※歪愛っぽい描写有り












色んな誤解はあったが何とか和解したスザクとルルーシュ



二人は互いに互いを思い合うが故に、本当の気持ちを押さえ込んでいた



過去を求めたシャルルとマリアンヌの陰謀を共に阻止した、今までは



自分と違(たが)う道を往(ゆ)く親友



何故手を取ってくれぬのと、憎くて憎くてたまらない時もあった



感情を表に出さなかった二人は、ここで自分の気持ちを晒(さら)け出す



誤解が更なる誤解を生み、憎悪に身を任せた結果がこれだと知った



自分にだけ優しい世界



そんな世界は傲慢だと、ぶつかりあったスザクとルルーシュの意見が初めて一致した



――俺達は何をやっているのか?



いつまでこんなことが繰り返されるのか?



やられてはやり返し、際限なく死者の数が増えていくばかりで、この状況からの出口さえ見えない



これほどの惨劇をなぜ人は求めるのだろう?



いかなる理由があれば、こんなことが正当化されるというのだろう?



嘘をつくのが上手なルルーシュの顔が重く沈んでいたのを、鋭い洞察力を持つスザクは見逃さなかった



そんなもどかしさ育ちつつあるスザクを余す事なく見つめ、確信したルルーシュは眉一筋も動かすことなく、ある究極の計画へと導く



最終的に二人で話し合った結果、ゼロレクイエムを決行することを決めた



今現在ルルーシュとスザク以外で、ゼロレクイエムの真の目的を知っているのはC.C.だけ



(どうしてこうなってしまうんだろう?)



スザクはやりきれない思いで、深く息をつく



崩れかけた遺跡でスザクは自分の肩に凭(もた)れて寝息をたてているルルーシュの髪を撫でる



輪郭に深みを帯びた月明かりが、ルルーシュの安らかな白い顔を青白く照らす



彼もまたこの濁世の被害者の一人なのだ



絡め取られた指が言う



おまえはこのままにげだせないと



捕まれた髪が囁く



どうしたってにげられやしないと



触れてしまいそうな瞳が嘯く



そのままいっそくわれてしまえと



痺れ切った喉が哭く



こうしてぼくらはおわってゆく、と



「どうせ殺されるのなら他の誰でもない、お前がいい」



スザクの重苦しい表情にルルーシュは苦笑する



「お前になら俺の命、喜んで捧げてやる」



誰よりも生きたがっている君がそう言うのなら、僕に与えられた選択肢はただひとつ



その命令に従い君を討つしかない



さあ……裂いて、裂いて、裂いて



引き摺りだして、千切って、千切って、打ち付けて、丸めて、押しつけて



裂いて、裂いて、裂いて、振り回して、掻き毟って、粉々にして、ばらばらにして



好きなように、愛するように



言霊のように、感情のままに



裂いて、裂いて、裂いて、おれをこわせ



「やっぱり君は…ずるいよ。ルルーシュ」



スザク自身が告げた叫びが痛みを滲ませていることに、ルルーシュは気づいていたのかもしれない



或いはスザクの中の暗闇がそういう喋り方をさせているのだろうか



結論は定(さだ)かではない



「俺もお前を壊したい」



乾いた心が潤(うるお)いを求め仕切りにルルーシュを欲しがる



「だから俺以外の誰にも殺させるな」



辛うじて保(たも)つことが出来た理性で、醜い独占欲を隠しては来たが、嫉妬が身体を蝕(むしば)み歪ませようと、俺の中の何かが企(たくら)んでいる



「ルルーシュを殺すのはこの俺、枢木スザク」



血塗られた愛は死すらも超越する







黒い衝動



(君の死さえも異問わない。)













お題拝借、闇に溶けた黒猫・9円ラフォーレ様


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