スザルルSS

□掻き抱いた君が消えてゆく
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※裏描写有り









それはまるで淡雪のような



握りしめれば溶けて消えてしまいそうな



夢と光と



スザクはそんなものばかり追いかけていた



「はあっ……あ…はっ……はっ」



スザクの奏でる律動に合わせて腰を振るルルーシュ



荒く甘い艶めいた息遣いと水温だけが部屋に響く



「はっ…はあっ…ぁあっ…!」



ベッドの横に置いてあるアルコールランプが二人の影を灯(とも)す



「見て…ルルーシュ。ほら、僕達繋がってる、ひとつになってるんだ」



結合部分が陰影となってくっきりと映し出されているが、それに気づくほどの余裕はとうに無くしていた



「…あ……っは……スザ……ク」



挿入(いれ)る前に塗ってくれたローションが潤滑油の役目を果たしてくれているのか、程よく解(ほぐ)され、動くたび中が擦れて仕方ない



溢れんばかりの快楽の波が押しては引き寄せて来る



「……っルルーシュ!」



スザクにも限界が来たのか一気にラストスパートをかける



「あ…くっ……あぁぁぁっ…!!」



電流が流れているかのようなヒリつく刺激が、ルルーシュの身体を這い昇り全身を襲った



張り裂けんばかりの声を上げ、スザクの与える愛撫に啼いたルルーシュは、彼と同時に高みへ昇りつめそのまま気を失ってしまう



情事後、スザクはルルーシュを自分の胸元に抱き寄せながら眠っている



ルルーシュの寝顔はどんな女性も及ばないほど美しく整っており、いくら眺めようと全く飽きが来ない



「スザク…」



「ごめん、起こしちゃった?」



無理をさせてしまったのではないかと、焦点が虚(うつ)ろなルルーシュの身体を気遣うスザク



「いや……平気だ」



そんなスザクの反応を見透かし、確かに憔悴(しょうすい)仕切っているが笑みを含んだ表情で応(こた)える



「今日は抱き方が激しかったな」



心配したスザクがルルーシュの折れそうなか細い腰を左右に摩(さす)る



「そう?」



表だって知られたくはないので、表情を繕(つくろ)い何も知らないフリをする



だがその高貴のアメジストで見つめられると、心の奥底に渦巻く不安を見透かされてるように感じる



「普段はもっとソフトだ」



決して無理強いはせず、壊れ物を扱うかのように優しく、優しく抱いてくれる



「スザク、何故あんな風に俺を抱いた?」



抱かれてる時も心の中で微かな疑問が湧き、不思議に思ったのか直接本人に聞いてみた



「君が消えちゃいそうで」



言っている意味が分からない



「…?」



意図を飲み込めず、対応しようにも対応しようがないルルーシュはスザクが話すのをじっと待つ



「君が……僕の手の届かない場所に行ってしまいそうで…」



怖いんだと言う言葉は、ルルーシュのくれた啄(ついば)むようなキスによって掻き消された



「この馬鹿が」



「ル、ルーシュ?」



突然唇を襲った異変、ルルーシュからの積極的なキスに自然と身体に熱が生じる



「そんな心配をするならもっと未来(さき)のことに頭を使え」



まるで「俺はどこにもいかない」と言ってるような、慈(いつく)しみを含んだ瞳でスザクを見つめる



それでも背筋に這い寄る不安は拭(ぬぐ)いきれない







掻き抱いた君が消えてゆく



(ぐるりぐるり、逆流する渦の中。離すまいと必死だった、失くすまいと藻掻いた、ああそれは)










お題拝借、ニルバーナ様


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