君のための嘘

□第十九話
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「夏祭り?」






「ああ、そうだ」






夜の20時。


監督に呼び出されて休憩所に集まったバスケ部員。



何事かと思えば、夏祭りに行こうと言い出した。






「ここの近所でやってるらしくてな!みんなで行こうと思うんだ!夏祭りなんて久しぶりだ!」






大した反応を返さない私とは裏腹に、監督は目を爛々と輝かせながら夏祭りについて語り出した。






「氷水に浸されたビールとこんがり焼けたトウモロコシを食べながらの花火!あれほど癒されるものはないぞ!」






「監督。私たち未成年です」





桃ちゃんの的確なツッコミに私も頷く。





「つーか、合宿に来てんのになんで夏祭りなんだよ」





「なんだ、青峰。夏祭り嫌いなのか」





「嫌いではねぇよ」






どうせ巨乳のお姉さんの浴衣姿が目的なんだろ、このガングロは。






「ふん、くだらない。そんなものに行く暇があるのなら自主練をしていた方がマシなのだよ」






さすが真ちゃん。

合宿に来てるのに遊ぶつもりはないってか。






「俺は賛成ッス!夏祭り!」






黄瀬くんはさっきまでの涙が嘘のように、監督と同じような生き生きした顔をしながら挙手。






「僕はどちらでもいいです」






そう言うと思ったよ、黒子っち。






「リンゴ飴食べたいし、行きたーい」





そう言うと思ったよ、ムッくん。








「まあまあ、みんな。ここは主将に決めてもらおうよ」






桃ちゃんがみんなを落ち着かせ、視線を赤司くんに向けた。



その視線を辿るように、みんなも赤司くんに視線を向ける。







赤司くんは腕を組んで少し俯きがちにしている。



何を考えているのかは知らないが、赤司くん浴衣似合いすぎて鼻血出そう。













「まあ、いいんじゃないか?たまには息抜きも」










つまり決定。



多数決をとったところで、どうせ行くことになっていたのだ。







「観念して行こうよ、真ちゃん」






ね?と浴衣の裾を引っ張ると、真ちゃんはため息を1つ吐いた。






「仕方ないのだよ。今回だけは特別だ」







「さすがツンデレ真ちゃん!」






「誰がツンデレなのだよ!」






「真ちゃんがなのだよ!」






「真似をするな!」











そんなこんなで夏祭りに行くことになりました。
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