君のための嘘
□第八話
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モデル代理で雑誌やら広告やらの撮影をしたあの日から数週間。
雑誌のサンプルが出来たとかで、なぜか部活の休憩中にそのサンプルを渡してきた。
しかも、なぜか表紙に私と黄瀬くんがいる。
聞いてないぞ、と黄瀬くんに言えば、え?と惚けた顔をして口笛を吹いた。
詐欺師モデルめ、なんて思いながらセクシーな私とセクシーな黄瀬くんが表紙のその雑誌を捲る。
「えええ……【小悪魔フェイスのミステリアス少女】って……なんだ、このキャッチコピー」
小悪魔フェイスって……ミステリアスって……
「でも、あのときの なまえっち、ほんとに小悪魔みたいだったッスよ 」
ニコニコと悪気のないような顔で言ってるけど、お前のせいで私がまた黄瀬ファンからリンチくらったらどーしてくれんだよ。
目を逸らしたくなるほど淫らに絡む私と黄瀬くんの載っているページ。
使われた写真は3枚。
一番最初に撮った絡められた指にキスしてる写真と、私の両手を片手で頭の上に纏めて固定し、もう片手で顎を持ち上げている写真と、私が黄瀬くんに跨がっている写真。
よりにもよって恥ずかしい写真ばっかりだ。
言っておくが、3枚目の写真は、私が自分の意思で黄瀬くんに跨がったわけではない。
あの変態カメラマンに指示されたからなのだ。
だがしかし、ちょっと楽しかった。
あ、ちょっ、石投げないでね!?
心の中でorz状態のまま雑誌をパタンと閉じる。
これは私の黒歴史だわ…。
「それ、 なまえっちにあげるッスよ!俺はもう一冊持ってるんで 」
いらねぇよ…
「おい、何コソコソやってんだよ」
迂闊だった。
だってまさか、後ろから来るとは思わなかったから、手に持っていた雑誌を青峰くんに取られてしまった。
うわぁぁぁあ、見るなぁぁぁ!!
「んだ、これ?………………」
雑誌の表紙を見た瞬間、青峰くんが固まった。
しばらくするとパラパラとページを捲っていく。
どんどん青峰くんを纏うオーラが黒くなってる気が…。
「あ、青峰っち……?」
「黄瀬ぇ………てめぇ…」
般若のような顔で黄瀬くんを睨み付ける青峰くんは、漫画で見た青峰くんより数倍怖くて、顔をひきつらせながら黄瀬くんと距離をとった。
「えっ、ちょっ… なまえっちィ!!見捨てないでくださいッス!!! 」
「ごめん、黄瀬くん。私…まだ死にたくないの」
なぜ青峰くんがキレてるのかは知らないが、とにかく巻き込まれるのは嫌だ。
「あ、黒子くん!お、おつかれー!はい、タオル!」
身近にいた黒子っちに逃げる。
うん、安全地帯。
「ずるいッスよぉ、 なまえっち! 」
「黄瀬…覚悟しとけよ?」
「ひぃっ!」
その後、体育館に黄瀬くんの悲鳴が響いたのは言うまでもない。