欲張り少女は微笑んだ

□公認ストーカー
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「苗字…。今すぐこの手を放して、俺から半径5m以上離れろ!」


「嫌ですよー!そんなことしたら、私と笠松先輩の愛の時間が削られ「何が愛の時間だ!」」



名前っちは今日も懲りずに笠松先輩にアタックをしている。

あ、ちなみに俺は黄瀬涼太ッス!

簡単に説明すると、俺の同級生の名前っちは笠松先輩に一目惚れして、それ以来ずっとこんな感じッス。



「いつになったら付き合ってくださるんですかぁ!こんなに先輩を愛しているのに!森山先輩のナンパも華麗にスルーして笠松先輩に会いに来ているというのに!」


「んなこと知るか!」


「そんな短気なところも好きですー!挙式は何月にしましょうか?私はできれば6月に…」


「だから付き合わねぇし結婚もしねぇって言ってんだろうが!」



……名前っちも前まではこんな変態じゃなかったんスよ。

もっと純粋で愛らしかったのに…。

笠松先輩と会ってからというもの、日に日に変態へと変わっていったんス…。



「あぁ!笠松先輩の絶対領域を貪りたい!汗で湿ったTシャツに顔を埋めたい!私は笠松先輩と【自主規制】なことしたいのです!!!!」


「なっ!なななな何言ってんだ!し、しばくぞ!!!!」


あーらら。

先輩、顔真っ赤になって名前っちの頭鷲掴みにしてる。



「名前ちゃん。笠松なんてつまらない男はやめて、俺にすればいいのに」

「邪魔です、森山先輩」



ああ、森山先輩が泣いてしまった…。

暴走した名前っちは俺にも止められないッスからね〜。

止められるとしたら…




「あー、くそ!仕方ねぇな!帰り、送ってやるから大人しく待っとけ!部活の邪魔すんな!」


「か、笠松先輩…!」




…まぁ、笠松先輩くらいしかいないッスよね。




「次うるさくしたら、しばく」


「ぬふふ…先輩と下校…」


「聞いてんのか、アホ!」




先輩はそんな風にキレてるけど、自覚してないんスかね?

女の子が苦手な笠松先輩が、名前っちとは普通に喋れてることに。



「これで明日の先輩観察もいつも以上に頑張れそうです!」




―――公認ストーカー。

何だかんだ先輩も嬉しそうッスよね。


(先輩、結局あれから毎日名前っちのこと送ってるッスよね)

(っるせぇ!しばくぞ、黄瀬!)

(なんで俺ぇ!?)



おわり*
 

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