君のための嘘
□第九話
4ページ/4ページ
side.黄瀬
まただ。
なまえっちはまた泣きそうな顔で青峰っちを見てる。
そんな切ない顔をされると、放っておけなくなる。
そんな顔するくらいなら、俺にすればいい。
青峰っちより俺の方が幸せに出来る。
それでも、 なまえっちは俺を見てくれない。
少しだけ、 なまえっちのことを応援しようとも考えた。
好きな子の幸せは、やっぱり嬉しいから。
だけど、本宮さんのことを強く否定しないくせに なまえっちに強引なキスをした青峰っちにはもう我慢できない。
だけどやっぱり青峰っちは憧れで、勝てるのかと不安になる。
いや、勝つんじゃない。
なまえっちを振り向かせる。
青峰っちに抱き締められている なまえっちはやっぱり嬉しそうで、胸の深いところがドクドクと強く脈打っている。
きっと情けない顔をしていたんだろう。
そんな顔を なまえっちに見られた。
目を見開いて俺を暫く見つめたあと、青峰っちを引き離して何か話したあと、また俺を見つめた。
そんなに苦しそうな顔で見ないでほしい。
どうしようもないくらい好きなんスよ、 なまえっち。
その言葉を言えなくて、俺は作った笑顔を向けた。
俺、上手く笑えてるッスかね?
つづく*