君のための嘘

□第九話
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side.黄瀬









まただ。




なまえっちはまた泣きそうな顔で青峰っちを見てる。





そんな切ない顔をされると、放っておけなくなる。





そんな顔するくらいなら、俺にすればいい。




青峰っちより俺の方が幸せに出来る。




それでも、 なまえっちは俺を見てくれない。





少しだけ、 なまえっちのことを応援しようとも考えた。




好きな子の幸せは、やっぱり嬉しいから。





だけど、本宮さんのことを強く否定しないくせに なまえっちに強引なキスをした青峰っちにはもう我慢できない。






だけどやっぱり青峰っちは憧れで、勝てるのかと不安になる。





いや、勝つんじゃない。




なまえっちを振り向かせる。









青峰っちに抱き締められている なまえっちはやっぱり嬉しそうで、胸の深いところがドクドクと強く脈打っている。









きっと情けない顔をしていたんだろう。



そんな顔を なまえっちに見られた。




目を見開いて俺を暫く見つめたあと、青峰っちを引き離して何か話したあと、また俺を見つめた。






そんなに苦しそうな顔で見ないでほしい。






どうしようもないくらい好きなんスよ、 なまえっち。






その言葉を言えなくて、俺は作った笑顔を向けた。










俺、上手く笑えてるッスかね?











つづく*
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