ザ☆ナンバーズ!!!

□二階堂伊織
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午後5時。


今日はピアノの稽古があるため、部活を早退した。

荷物を整理して部室棟を出る。


玄関の外は



「あ…」


『あの日』によく似た真っ赤な夕陽で茜色に染まっていた。
思わず虐げられてきたあの日々を思い出し、ぶんぶんと首を振って追い払う。



「伊織殿?」

「!!」


凛とした、でもどこか懐かしい声。


振り返れば、チアガール姿のきらちゃん―五星きららちゃんが少し驚いた顔で立っていた。


「久しぶりだな、今日は稽古か?」

「うん。途中まで部活に来てたんだけどね。〆切まで作品づくりが終わんなくってさ」

「そいつは忙しいのう。まぁ妾(わらわ)のとこも野球部の応援に向けて練習じゃよ。全く、期末テストで勉強すべきのはずがとんだ迷惑じゃ」


「ほんとほんと!!ただでさえわたし、前回赤点ギリギリなんだからピンチだよ(TДT)」


きらちゃんは、クラスは違うけど同じ芸能科で、ちょくちょくお互いのクラスへ遊びに行く仲だ。


「五星さーん!!部長がもう一度通しで全体の確認するから第二体育館に集合だって!!」

第二体育館から、チアガールの人が大声で呼びかける。

「わかったのじゃ。今そちらへ行くぞ」


きらちゃんはそう応えると、「すまない伊織殿!!」と足早に駆けて行った。


はぁ…可愛いなぁ…♡


はっ!!稽古に間に合わない!!
走らないと!!


スマホの時計を見て焦ったわたしは、じりじり照らす夕陽を浴びながら正門へ向かった。
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