ザ☆ナンバーズ!!!
□二階堂伊織
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【現在】
あれから2年。
中学生になったわたしは、興味があったファッション部に入部した。
将来デザイナーになりたいと考えていたから、入ってからの日々が楽しくて、あっという間に過ぎていった。
今は夏休みに開催する中学ファッションコンテストに出場するべく、全部員がそれぞれの作品づくりに没頭中。
「あっっっっっっつ!!なんでクーラー故障してんだよ〜」
わたしの隣で仲が良い聖空(せら)ちゃんが、夏服の袖をまくって扇子で扇いでいた。長袖の方だから半袖よりもかなり暑いにきまってる。
「ホントだよ…全然集中できないんですけど…」
わたしも額から首にかけて汗が止まらない。
ミシンを使う細かな作業も、動作が暑さでぼんやりして手が止まりっぱなしだ。
「そういやさ、SMFCのグルチャ見た?衛様が期末テスト明けの大会でレギュラー入りなさったそうよ」
向かい側の理沙ちゃんが嬉々として言うと、みんなが色めきだった。
「読んだよ!!前の練習試合ではあまり活躍できなかった衛様の勇姿がついに見れるのよ!!」
衛様―普通科1年3組男子バスケ部の鈴木衛様のファンクラブがこの学校に存在する。(以下SMFCとする)
なんとわたしはその会員7!!キセキの一桁代の番号。
つまり、かなり熱狂的なファンだということが証明できるの!!
それがわたしの誇りそのもの。
「カッコイイよね〜♡この前バスケ部のロードワーク中をお見かけして、写真撮っちゃうとこだったわ♡」
「あははっ、SMFCは衛様のプライバシー守るために規則厳しーもんね」
「衛様を守る…聖空ナイス!!www」
聖空ちゃんのギャグ(?)にすっかり盛り上がるわたし達。暑さはいつの間にか吹き飛んでいた。
―わたしがこんな幸せな生活を送っているのも、彼らのおかげだ。
今は、全員同じ学校とはいえ、普通科と芸能科にバラバラに別れて、集まる機会が少ない。
でも、わたしは彼らに逢えたことに感謝してるんだ。
離れてても絆は決して消えない自信がある。
「伊織、なーにニヤニヤしちゃってwww」
「な、何でもないよ」
そう思っていた。あの事件が起こるまでは。