あなたはわたしのモノ…

□プロローグ
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空を見上げれば、少し曇りがちな中にも時折青空をのぞかせている。

そしてそのまま視線を校庭の片隅に落とせば、咲きはじめた桜の花が風に揺れている。

そして校庭の真ん中には在校生諸君が花道を作り、卒業生が出てくるのを今か今かと待ちわびている。




今日は、美郷中学校の三年生の卒業式。

そして今日卒業を迎える生徒の一人、浜保 来夢は窓の外を見ながら頬杖をつき、担任の先生の言葉に耳を傾けていた。


「…それでは、私からの最後の授業はこれで終わります。みんな、卒業おめでとう。それじゃ、外に出ましょう。」

担任の先生がそう言うと、クラス中に椅子の脚と床が擦れる音が響き渡った。


そして全員が教室から出ていくなか、来夢は足を止めて先程まで自分が座っていた席を見た。


「…今日でこの席ともお別れか。」

そう呟き、一人取り残された教室を後にした。





そして表に出て、在校生によって作られた花道を通る。

部活をしていた連中は、後輩から寄せ書きが書かれた色紙を渡されたり、目をかけていた後輩をねぎらったりしている。

「浜保先ぱ〜い!!」

俺も野球部に所属していたため、一応例外ではなかった。

「今までありがとうございます!時々見に来て下さいね!」

そう言いながら色紙を渡される。

「お前らも頑張れよっ!今のメンバーならきっと強くなれるから!」

「ありがとうございます!!」

そんなことを言いながら、花道を歩き続けた。
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