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□もう、思い出せないけど
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いつからだったかな、
寂しいと感じるようになったのは。
昔は、寂しくなかった
何でだろう…………



何ともいえない、この、喪失感。欠落感。
毎日飽きるほど感じる感情。
もう、この感情が消えることは無いと心の中で思っていた。
だけど



この学校に転校して来て、テレビの中に入ったり、ペルソナが使えるようになったり、殺人事件の犯人を捕まえたり、今まで体験できなかった出来事。
そして自分よりも大切な仲間も出来た。
空っぽの自分にはきっと心から信頼できる仲間なんて出来ないとどこかで諦めていた。だから出来てから焦った。失うことが怖くなった。彼等が居なくなってしまったら俺はどうなるんだろうと。また、あの時のように1人になってしまうのか。……あの時…?どの時だ、…分からない。
だけど、昔、俺の心の支えになってくれていた人が居た気がする。なんだろう、もう、思い出せないけど、優しくて、カッコ良くて、賢くて、俺の憧れの人だった気がする。顔も名前も口癖も思い出せないけど。
きっとその人のお陰で今の自分がいる。大切な仲間たちを守ろうとしている自分がいる。だから

もし、近くにいるのなら大丈夫だから、
自分はもう支えられるんじゃなく、支えられる人間になれるように
応援しといてよ、



俺はもう、大丈夫だから…


「悠ー?ボーッとしてどうかしたか?」
「いや、大丈夫だ、それより早く みんなが待ってるジュネスに行こう」
「そうだな、悠」
「行こう、陽介」












誰も居なくなった場所で、飛んでいた青い蝶が消えたことは彼は知らない。


→あとがき
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