& ターレス
□EYE
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煙をあげるポットが自動的に扉を開けた。人が集まるこちら側とは逆に開いたため、中を窺い知る言は出来ない――
シンと静まり返る管制員達。誰かがスカウターのスイッチを入れたらしく、ピピピ…という機械音がする。その後すぐにボンッと爆発し、驚愕の声が響いた。
「い、一体どうゆう事だ?」
しかし、誰も答えを出さない…嫌、出せないでいる。スカウターが不良品だったのか…はたまた壊れるほどの、計り取れないほどの戦闘力なのか――
誰かがゴクリと恐怖に喉を鳴らした。
ガタ――
ポットが小さく揺れる。
そこに見えたのは……
黄金に輝くオーラを纏った尾のある男――
ポットから降りて立ち上がれば、逆立つ髪が揺らめきその鋭い視線を群衆へと向ける。
その瞳の色に彼らはまた息を飲む。
射殺されそうな程に尖った目は淡い緑の色をして…虚ろにも見えた。
到底サイヤ人とは思えない姿だったが、同胞特有の尻尾を腰に巻き直す仕草は種族独特のもの。
そして何よりもその顔には特徴的な――
「――バーダック!!」
「何だと?アレがバーダック!?」
駆け付けたターレスが叫んだ名に群衆はさらに騒めく。
「何で分からないんだアンタ等!?あの顔はどう見たってバーダックじゃないか!」
「…し、しかしあの風貌は――」
人集りの外側で叫んだターレスの声に、黄金に光る男は視線を向けた。
そしてその殺気立つ様な眼差しのまま、ゆっくりと歩きだす。
「……退け」
何事かと集まっていた同胞に低い声で囁き、掌を突き出す。
何をする気だ と言う慌てる輩をなぎ払うようにスッと水平に切った――
閃光が走る。
男の前にいた数十人が吹き飛ばされ、そのまま倒れ動かなくなった。
男は頬の傷をも持ち上げるように口角を上げてそれを眺めた。
「な、何をする!!」
武器を構えた管制員達が口々に非難や制止の声をあげて、問題の男に対峙する。…が、その目を見ただけで躰が硬直し誰もが動きを止めてしまった――
恐怖。
今まさに彼らの頭にはそれしかないだろう。
纏う気は益々荒くうねり、男の虫の居所具合を物語っていた…
そんな中、ターレスは只一人違う思いが胸に募る。
(――美しい。)
果たして男に形容して良い感想かはわからないが、正直な気持ちだった。
立ち上るオーラに揺れる金の髪も、虚ろながらもギラギラとした翡翠の瞳も…指先、足の先までもが輝く宝石の様で……
「……超サイヤ人……?」
ターレスの呟きに、金縛りがとけたかの如く皆が一斉に振り向き、そして再び渦中の男に目を戻した。
「まさ、か……噂の占いの……!?」
「伝説の――」
「何という…強さ……」
その場が再び騒めき始めた。恐怖の眼差ししかなかったものが、次々と羨望のそれに変わる――
正体に推測がたった今、目の前の輝く男はなんと魅力的な存在なのだろう……
しかし、ターレスにはあの虚ろな瞳が気になって仕方なかった。あんな目は滅多に見ない。
戦闘で身体が疲弊していても瞳はいつも力強く、パワーに溢れていた。眠いような……精魂尽き果てたような……とてもバーダックらしくない。
「バーダック!」
声を張り上げて名を呼べば、ゆっくりと顔を…翡翠の瞳を持ち上げる。
――そして、目が合うと
フッ…と笑った……
そこから足を進めないでいるバーダックに舌打ちし、ターレスの方が歩み寄った。
視界一杯に男の金色が入る。そして男の方にも、眉間に深い皺を作って急ぎ足で近づくターレスが映る。
二人がようやっと至近距離にて視線を絡ます。
「……静めろ………」
おもむろに男が…バーダックが小さく言葉を放つ。
ターレスは一瞬目を見開いたが、直ぐに不適に笑みを浮かべた。
「了解……気絶するまで抱いてやるよ……」
「――フンッ……」
途端にグラリとよろけ、バーダックはそのまま膝からガックリと力尽き倒れこむ。
ターレスの胸に支えられ、翡翠の瞳を閉ざし…意識を手放した――
「――抱く前に気絶?クク…カワイイなバダ……」
未だ輝き逆立つ黄金の髪にサラリと指を絡ませ呟いた後、ヒョイと担ぎ上げその場から飛び立って行ったのだった―――
――☆後書き☆――
きゃぁぁぁぁ
やっちゃいました!金バダ(うるせっ!)
某様の超化バダの眼差しに射殺された私が、贔屓目で萌のままに書かせて頂いちゃいました(*^_^*)
何故バダが超化したのか…そのうち辻褄合わせ的に書けたらいいなぁと思っております(*/ω\*)
最後までお付き合いいただきありがとうございます☆