小説

□着陸。
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現れたのは青と白のグラデーションの中。


「う!わぁぁぁ!!」
「どわぁぁあっ!」


突然の落下感に襲われラディッツが叫んだのに驚いて、気を探られた相手も驚愕の声を上げた。
咄嗟に悟飯に支えられたため、自身の長髪が重力通りに下りホッと胸を撫で下ろす。


「ご、悟空!悟飯!!」
「クリリンさん!」


ビックリして飛行を停止したクリリンが、目を大きくしながらオーバーに仰け反った。
悟空はいつも通りに オッス! と片手を上げてにっこりと笑う。悟飯も嬉しそうに挨拶して頭を下げた。


「あ、あぁ………あの、そっちの人たち――」


二人の挨拶に相づちを打ちながらも、そこに並んで浮遊する何とも恐ろしい気を持っている男に嫌でも気が付く。
一人は見覚えがあった。以前に悟空の兄だと名乗って、悟空とピッコロが命懸けで倒したサイヤ人だ…

しかしもう一人――ベジータに似たくらいの気の大きさ…それに戦闘服にスカウター――どうみても地球人には思えない。何よりも自身の親友に瓜二つ……


「おぉ。これ兄ちゃんと父ちゃん!ドラゴンボールで生き返らせて今一緒に暮らしてるんだ♪」
「はぁ!?!?」
「オラ死んだじっちゃんしか知らねぇからさ。本当の家族がいるならちゃんと生活してみたくてさぁ♪」
「サイヤ人――なんだろ?大丈夫なのかよ……」
「大丈夫だって!生き返ってから何もわりぃことしてねぇぞ。それに何かあっても止められるから!」


クリリンは、まぁなぁ…と引きつりながら答えた。
コレ呼ばわりされてバーダックのこめかみにはピクリと青筋が浮かんでいる。それに気付かないのは悟空のみ……
怒気が膨れ上がっている目の前のサイヤ人に恐怖を感じずにはいられないクリリン。


「気で気付かなかったか?」
「嫌、あの……確かに急にデカイ気を感じてビックリしたけど……お前が近くにいて険悪な雰囲気じゃなかったから――
その内何か連絡くれるかと……」


あはははと呑気に笑いながら悟空は後頭部を掻いた。


「わりぃわりぃ!うっかりしてたなぁ〜」
「まぁ、いいんだけどさ……それより悟空もさっき急に来た気を感じたんだろ?!」


キッと眉を寄せてクリリンが言えば、悟空も悟飯も頷いて鋭く視線をなげた。

ラディッツがピピッとスカウターを操作して戦闘力を調べ始めた。バーダックはそれを腕組しながら待つ。


「あっちの方角、……確かに高いな……六人――か?」


機械がはじき出した数値にラディッツの額に汗がにじむ。


「ククク…久々の実戦だなぁラディ?お前地獄でも逃げてばっかだったからな。」
「う、うるせぇよ親父!あっちは強すぎる奴だらけだったんだよ!!」


思い出したくない事実を告げられたじろぐラディッツに、尚更口角を上げるバーダック。


「取り敢えず早く行きましょう!?」


恐怖を感じた悟空そっくりのサイヤ人だったが、からかってる様子が和やかに見えて、思わず見入っていたクリリンも悟飯の呼び掛けにハッとして頷いた。

五人はそれぞれに ドゥッ と力を貯めて飛行速度を上げた。









やがて見えてきたのは、素晴らしい森の中に不自然に出来たクレーターと、破壊されむき出しの地表のコントラスト………

その真上の空で停止し、クリリンは唖然と見下ろした。悟飯も小さな悲鳴に似た声を上げ、唇を噛み締めていた。


「だ、誰がこんな酷いことを―――」


美しい緑が途切れてしまった破壊後の地を、悟飯はギリギリとこぶしを握り見つめた。


「――地上げじゃぁなさそうだな。ラディ。」
「あ、あぁ…この星が目当てならこんな場所を破壊しても意味がない。」


視線のみを向けてバーダックが言えば、ラディッツも同意して補足した。
そしてクレーターにたたずむ大きな宇宙船に嫌でも目が行く――


「――まさか、またフリーザ?」
「で、でもあの時あの不思議な人が倒して…宇宙船も壊したじゃないですか!」
「フリーザの船に似てっけど…フリーザの気は感じねぇな……」


不安げなクリリンだったが悟空に言われたとおり、あのまがまがしい気を感じることはなく――ホッと胸を撫で下ろす。


「残党か?」
「確かにフリーザ軍の船に似ている……」


バーダックは方眉を釣り上げた。頷きながらラディッツが過去の記憶を探って答える。





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