小説
□記憶3〜更に最強〜
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その後昼食をたらふく食い、いいくらいにアルコールも入った気分の良いバーダックはベジータを荒野に誘い、先程の手合せの続きを願った。
反対に物凄く気分の悪いベジータだったが、力量の合う相手との手合せのトレーニング効率の良さを知っているため、仕方ない と了承したのだった。
(…口元が楽しそうだっての。ククッ)
捻くれてるのは変わらない。
日が暮れるまで暴れる頃には二人の腹も再び減りだした。
バーダックは、そういえば とブルマと別れ間際に渡された小さなものを思い出す。
借りた服は既に汚れ破けていたが、その小さな『モノ』は落ちずにポケットに残っていた。
手の平に出してベジータに見せると、飯かもしれん と言うので渡した。
バーダックにはこの小さな『モノ』が何故飯になるのか理解できない。
ベジータが小さな『モノ』――ホイポイカプセルのスイッチを押して放り投げた。
軽快にボンっと白煙を出して現われたのは……
「なんだこりゃ?」
「ちっ。食い物じゃない。酒か?」
色とりどりの硝子ビンが入った大きなケース。
蓋には 『お土産♪』 と女の字で書いてあった。
地球の発明品に感心しながら、中身の酒に興味津々に座り込んだ。
先程の昼食の席では殊の外ブルマと気が合った。仕事だから酒はやめとくと言っていたブルマも、一杯だけ…がエスカレートして仕舞には酒盛りになっていた。
バーダックの性格を理解したのか、面倒臭がる難しい質問はあまりしなかった。サイヤ人の特徴や身体能力など、これからの研究に使えそうな事柄をチョコチョコと上手く聞き出して、反対にバーダックには重力室のことや地球のアルコールに関して等食い付くものには楽しそうに答えていった。
よく見ればケースの中には元々バーダックが着ていた服も綺麗になって入っている。
地球で生活するようになり、戦闘服以外も好むようにはなっていた。
最初は次男の物を借りていたが中々しっくりこない為、一度だけ服を買いに行ったことがある。とりどりの色彩に目が痛くなりそうだったが、シンプルなシャツを何着か選びチチにセンスを問われながら購入してもらったのだった。
「これ貰ってくぞ?」
「……好きにしろ。俺はいらん。」
「王子は嗜まないんですか?ククッ」
「必要性を感じん。」
再びカプセルに戻したそれをバーダックに放り投げ、自身は気を蓄めて浮遊し始めた。
「…行くか?」
「――あぁ。」
「…また……
いや、いい。やめとく。
――じゃあな!」
(また会おう――
それは約束しない。
もう誰とも……『約束』はしない。)
ベジータよりも先にその場を飛び立った。
後悔を残して死ぬことはもうゴメンだ。
夕焼けに向かって飛ぶベジータは、そんなバーダックの真意を表情に見てとり、フンと鼻を鳴らして過去のモノに変えたのだった。
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